結核発病リスクの予測サインとなる血液中のRNA塩基配列:前向きコホート研究
A blood RNA signature for tuberculosis disease risk: a prospective cohort study
Zak DE1, Penn-Nicholson A, Scriba TJ, Thompson E, Suliman S, Amon LM, Mahomed H, Erasmus M, Whatney W, Hussey GD, Abrahams D, Kafaar F, Hawkridge T, Verver S, Hughes EJ, Ota M, Sutherland J, Howe R, Dockrell HM, Boom WH, Thiel B, Ottenhoff TH, Mayanja-Kizza H, Crampin AC, Downing K, Hatherill M, Valvo J, Shankar S, Parida SK, Kaufmann SH, Walzl G, Aderem A, Hanekom WA; ACS and GC6-74 cohort study groups.

1The Center for Infectious Disease Research, Seattle, WA, USA.
Lancet.2016 Mar23.pii: S0140-6736(15)01316-1.doi: 10.1016/S0140-6736(15)01316-1. [Epub ahead of print]
結核菌感染者の結核発病者を識別できる血液バイオマーカーを明らかにできれば効果的な結核流行の阻止ができる。全血遺伝子RNA配列データの中から結核発症予測サインとなるRNA配列を見出そうとコホート研究を行った。
研究の対象は、(1)2005年7月6日から2007年4月23日の南アフリカの青年コホート(ACS)の中の12から18歳の結核感染を受けている6,363例、(2)南アフリカとガンビアの結核排菌患者の家族4,466例である。前者のコホートについては6カ月ごとに被験者から血液検体を採取して遺伝子RNA検査を行った。結核発症の有無を2年間追跡した。ACSコホートからの発症者46例と、これとマッチして抽出した対照者107例を比較し、結核発症予測サインとして有望な全血遺伝子RNA塩基配列を16個選択した。これを用いた結核発症12カ月前の予測サインの感度は66.1%(95%CI 63.2-68.9)、特異度は80.6%(79.2-82.0)であった。この遺伝子RNA配列に対するマルチプレックス定量リアルタイムPCR(qRT-PCR)を用いた検査で、残りのACSの感染者と南アフリカとガンビアの結核排菌患者の家族について行った発病者の12カ月前の予測サインの検出力は感度53.7%(42.6-64.3)、特異度82.8%(76.7-86)であった。
コメント
結核感染者は世界人口の三分の一も占めており、すべての感染者に対応することはできない。結核感染者に、免疫抑制剤投与、HIV感染、糖尿病の罹病などがあると結核発病率が上昇する。そのため感染者の中で発病しそうな人を前もって把握できると対応が可能となる。本研究は、国際的な共同研究により結核感染者の中で1年前に発病の予測につながる血液中のバイオマーカーを見つけ、どの程度予測できるのかを検討したものである。まだ感度は高いとは言えないが、血中のRNAを使うことにより結核発病する感染者を1年前にかなりの確率で予測できる可能性を示している。今後の世界の結核対策に大きな影響を与える可能性のある研究である。
監訳・コメント:関西大学 社会安全学研究科 公衆衛生学 高鳥毛 敏雄先生
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