関節リウマチ患者の滑液における細胞外シトルリン化自己抗原の産生は好中球による活性化ペプチジルアルギニンデイミナーゼの放出によって説明することができる
Release of active peptidyl arginine deiminases by neutrophils can explain production of extracellular citrullinated autoantigens in rheumatoid arthritis synovial fluid
Spengler J1, Lugonja B, Ytterberg AJ, Zubarev RA, Creese AJ, Pearson MJ, Grant MM, Milward M, Lundberg K, Buckley CD, Filer A, Raza K, Cooper PR, Chapple IL, Scheel-Toellner D

1Arthritis Research UK Centre of Excellence for Rheumatoid Arthritis Pathogenesis and University of Birmingham, Birmingham, UK.
Arthritis Rheumatol. 2015 Dec;67(12):3135-45. doi: 10.1002/art.39313.
多くの関節リウマチ(RA)患者には、ペプチジルアルギニンデイミナーゼ(PAD)によって生成されるシトルリン化自己抗原が特異的に認められる。また、RA再燃時には好中球が多量のPADを発現し滑液中に蓄積する。本研究では、炎症を起こした関節における自己抗原産生の一因は、NETosis(好中球細胞外トラップ[NET]の放出)または壊死による好中球の細胞死であるとの仮説を検証した。
RA患者、変形性関節症(OA)患者、および乾癬性関節炎(PsA)患者の滑液中の細胞外DNAを測定した。ウェスタンブロット法、質量分析法、免疫蛍光染色法、およびPAD活性の測定によって好中球からのPADの放出を調査した。RA患者およびOA患者の滑液におけるPAD2およびPAD4蛋白質の発現、PADの酵素活性を評価した。
滑液中の細胞外DNAは、OA患者(P<0.001)またはPsA患者(P<0.05)よりRA患者にはるかに多く検出された。RA患者における細胞外DNAの発現量は、好中球の濃度およびPADの活性と相関していた。滑液中のPADの活性も、OA患者よりRA患者の方が高度であった(P<0.05)。上清液中のシトルリン化蛋白質PAD2およびPAD4は、NETに結合するか、または拡散していた。NETosisまたは壊死の状態にある好中球の上清液では、PADの酵素活性が検出された。
RAにおける細胞外自己抗原の生成は、好中球の細胞死による活性化PADアイソフォームの滑液への放出によって説明することができる。
コメント
RA患者にはコラーゲン等のアルギニン残基のシトルリン化した蛋白に対する抗体、抗シトルリン抗体(ACPA)の存在がリウマチ因子(RF)と共に診断学上重要である。RA初期においては、ACPAはRFより先行して発現上昇があり初期RAの診断にも重要である。 今日の研究によりOA患者、PsA患者に比べ滑液中に大量にシトルリン化自己抗原が認められ、それはダメージを受けた好中球の活性化PAD4酵素により産生されることが明らかとなった。 滑液中の好中球の増加、シトルリン化蛋白の増加、およびPADアイソゾームの活性化の増強がRA発症に関与していることが示された。
監訳・コメント:大阪大学 産業科学研究所 吉崎 和幸先生
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