難治性関節リウマチ患者に対するbaricitinib
Baricitinib in patients with refractory rheumatoid arthritis
Genovese MC1,Kremer J, Zamani O, Ludivico C, Krogulec M, Xie L, Beattie SD, Koch AE, Cardillo TE, Rooney TP, Macias WL, de Bono S, Schlichting DE, Smolen JS

1From Stanford University Medical Center, Palo Alto, CA (M.C.G.); Albany Medical College, Albany, NY ( J.K.); Rheumazentrum Favoriten (O.Z.) and the Medical University of Vienna ( J.S.S.) - both in Vienna; East Penn Rheumatology, Bethlehem, PA (C.L.); Rheumatology Clinic, MAK-MED, Nadarzyn, Poland (M.K.); and Eli Lilly, Indianapolis (L.X., S.D.B., A.E.K., T.E.C., T.P.R., W.L.M., S.B., D.E.S.).
N Engl J Med. 2016 Mar 31;374(13):1243-52. doi: 10.1056/NEJMoa1507247.
第II相試験において、生物学的疾患修飾性抗リウマチ薬(TNF-α阻害薬)による治療歴のない関節リウマチ(RA)患者の疾患活動性が経口ヤヌスキナーゼ(JAK)1・2阻害薬baricitinibにより低下したことがすでに報告されている。
今回の第II相試験においては、腫瘍壊死因子(TNF)阻害薬またはその他の生物学的製剤への反応が不十分な患者、あるいはこれらの薬剤により容認できない副作用が発現した患者527例を、baricitinib 2 mg/日、4 mg/日、またはプラセボの24週間の投与に無作為に割り付けた。主要評価項目は12週の時点でのACR20反応率、副次的評価項目はHAQ-DIのスコア、DAS28-CRPのスコア、SDAIスコア(3.3以下を寛解とする)などとした。
12週の時点でのACR20反応率はbaricitinib 4 mg群の方がプラセボ群より有意に高かった(55% vs 27%、P<0.001)。baricitinib 4 mg群ではHAQ-DIスコアとDAS28-CRPのスコアについてもプラセボ群との有意差が認められたが、SDAIについては有意差は観察されなかった。24週間を通しての有害事象発現率はbaricitinib 2 mgおよび4 mg群の方がプラセボ群より高く(それぞれ71%、77%および64%)、重篤な有害事象の発現率はそれぞれ4%、10%および7%であった。baricitinibの投与には、好中球数のわずかな減少と血清クレアチニン値およびLDLコレステロール値の増加が認められた。
生物学的製剤への反応が不十分なRA患者でも、baricitinib 4 mg/日の投与により12週の時点で臨床的改善がみられた。
コメント
TNF-α、IL-6、CTLA4を標的とする生物学的製剤(バイオ)の有効性は知られているが、これらの製剤に無効な場合、処方が困難である。一方、細胞内標的分子に対する低分子阻害剤としてJAK(1、2、3)阻害剤のトファシチニブ(ゼルヤンツ)の有効性も知られている。baricitinibはJAK1、JAK2の阻害低分子化合物でその有効性が問われていたが、バイオ無効例に対してもわずかであるが有効性が示された。今後、内服可能な低分子JAK阻害剤の開発は期待されるが、抗体製剤とは異なり、阻害部位も他にあるかもしれないし、高濃度あるいは長期投与による障害も否定できないため注意深い観察を要す。
監訳・コメント:大阪大学 産業科学研究所 吉崎 和幸先生
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