酒さ患者では認知症のリスクが高い
Patients with rosacea have increased risk of dementia
Egeberg A1, Hansen PR, Gislason GH, Thyssen JP.

1 National Allergy Research Center, Department of Dermato-Allergology, Herlev and Gentofte University Hospital, University of Copenhagen, Hellerup.
Ann Neurol. 2016 Jun;79(6):921-8. doi: 10.1002/ana.24645. Epub 2016 Apr 28.
酒さは頻度の高い慢性炎症性皮膚疾患で、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)および抗菌ペプチド(AMP)の増加が観察される。炎症、MMPおよびAMPは、アルツハイマー病(AD)などの特定の認知症を含む神経変性疾患の病因にも含まれる。今回、デンマークのレジストリにおいて酒さとADを含む認知症との関連を検討した。1997年1月1日から2012年12月31日の間に、18歳以上のデンマーク市民を、行政登録をとおして個人レベルで紐付けた。コックス回帰を用いて未補正および補正ハザード比(hazard ratio:HR)を算出した。
合計5,591,718例で構成され、酒さ患者82,439例を含んだ。研究期間中に認知症(形態を問わない)を発症した患者計99,040例のうち、29,193例がADと診断された。酒さ患者において、認知症およびADの補正HRはそれぞれ1.07(95%信頼区間[CI]1.01-1.14)、1.25(95%CI 1.14-1.37)であった。研究への登録時の年齢で結果を層別化すると、60歳以上の被験者においてのみAD発症リスクの有意な上昇がみられた(補正HR 1.20、95%CI 1.08-1.32)。酒さは、認知症、特にADと有意に関連する。
コメント
酒さは原因不明の顔(特にほほ)の一過性のびまん性紅斑で、腫脹や毛細血管の拡張を伴いニキビに似た丘疹や膿疱で多数の患者さんが存在する。しかし、神経内科医にとっては認知度の低い疾患である。一方、酒さ患者で高値を示すMMPおよびAMPがADを含む神経変性疾患で、同様に高値であることは以前から知られている。今回の報告は、それら共通する異常検査に基づき、酒さと、認知症、特にADとの関連を臨床的に検討したものである。結果は仮説の通りに両疾患に関連が認められた。今後AD発症の機序検討へ結びつく興味ある臨床観察と考え取り上げた。
監訳・コメント:大阪府立急性期・総合医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生
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