中年患者の半月板変性断裂に対する運動療法と関節鏡視下半月板部分切除術の治療評価:無作為化対照群の2年間の追跡調査
Exercise therapy versus arthroscopic partial meniscectomy for degenerative meniscal tear in middle aged patients: randomised controlled trial with two year follow-up
Kise NJ1, Risberg MA, Stensrud S, Ranstam J, Engebretsen L, Roos EM.

1Department of Orthopaedic Surgery, Martina Hansens Hospital, PO box 823, N-1306 Sandvika, Norway nina.kise@mhh.no.
BMJ. 2016 Jul 20;354:i3740. doi: 10.1136/bmj.i3740.
ノルウェーの2公立病院整形外科部門および2理学療法診療所においてMRIで半月板変性断裂が確認され、変形性関節症のX線所見を有さない(96%)、成人140例を対象とした。平均年齢は49.5歳(35.7−59.9歳)であった。運動療法群は、12週間の監督下の運動療法のみを施した。関節鏡視下半月板部分切除術群には運動療法を行っていない。対象者を両群に無作為化に割り付けた。膝関節損傷と変形性関節症転帰の評価は、4つのKOOS下位尺度スコア(疼痛、他の症状、スポーツ時・レクリエーション時の機能、および膝関節に関連するQOL)を用いた。2年間追跡し、大腿筋力変化の観察は3カ月間までとし、群間差の解析を行った。2年の時点のKOOS4の変化については臨床的に有意差が認められなかった(0.9ポイント、95%信頼区間:4.3−6.1、P=0.72)。3カ月の時点で、筋力の向上が運動療法群で認められた(P<0.004)。2年間の追跡調査中に、両群とも重篤な有害事象は発生しなかった。2年間の追跡調査中に、運動療法に割り付けられた被験者の19%が手術にクロスオーバーしたが、さらなる有益性は認められなかった。結論として、2年間の追跡調査により両群の治療効果の差は極めて小さく、短期的には運動療法の方が、大腿筋力の向上に関して手術に優る効果を認めた。この結果は、変形性関節症の確定的なX線エビデンスが認められない半月板変性断裂中年患者に、治療選択肢として、臨床医に監督下での運動療法を考慮することを促すものである。
試験登録 www.clinicaltrials.gov (NCT01002794)。
コメント
本論文は、難病による関節疾患に関するものではない。関節損傷において整形外科医はとかく手術に偏る傾向があるが、運動療法だけではどの程度効果があるのかを検討した臨床研究である。興味深いことに半月板変性断裂の患者に対して、手術的介入と匹敵するほどの効果が運動療法だけで得られたと報告している。運動療法には、多分、理学療法士、作業療法士などのコメディカルスタッフの役割が大きい。本論文は、人間の体の快復力と、それを支える医療スタッフが関わる治療プログラムの重要性を示すものと思われる。
監訳・コメント:関西大学 社会安全学研究科 公衆衛生学 高鳥毛 敏雄先生
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