アルツハイマー病スペクトラムにおいてin vivoで大脳皮質におけるタウおよびアミロイドの拡散パターンを検討
In Vivo Cortical Spreading Pattern of Tau and Amyloid in the Alzheimer Disease Spectrum
Cho H1, Choi JY, Hwang MS, Kim YJ, Lee HM, Lee HS, Lee JH, Ryu YH, Lee MS, Lyoo CH.

1 Department of Neurology, Gangnam Severance Hospital, Yonsei University College of Medicine.
Ann Neurol. 2016 Aug;80(2):247-58. doi: 10.1002/ana.24711. Epub 2016 Jul 8.
本研究の目的は、in vivoで大脳皮質におけるタウおよびアミロイドの拡散パターンを検討すること、および陽電子放射断層撮影(positron emission tomography:PET)画像に基づくアルツハイマー病(AD)スペクトラムにおけるタウの病期分類を確立することであった。
PETスキャンを2回(アミロイドβは18F-florbetabenで、タウは18F-AV-1451で標識)受けた参加者195例(AD 53例、健忘型軽度認知機能障害[mild cognitive impairment:MCI]52例、非健忘型MCI 23例、健康な対照67例)を組み入れた。
タウの蓄積は内側側頭領域で最も多く観察され、他の連合皮質に段階的に拡散し、最終的には1次皮質領域に拡散した。一方、アミロイドの蓄積は新皮質領域にびまん性にみられ、最終的に内側側頭領域に拡散した。画像に基づくタウの病期分類は全般的な認知状態と相関したが、皮質の菲薄化は進行したタウの病期、すなわち病期Vの内側側頭領域および病期VIの皮質全域でのみみられ、AD進行の客観的評価に有用かもしれない。
コメント
アルツハイマー病の病態の主流は、アミロイドカスケード仮説で、アミロイドβの蓄積の下流に神経細胞内のタウの異常リン酸化があり、さらに下流に神経細胞の崩壊がある。PETを用いた今回の研究では、剖検で確認されたタウおよびアミロイドβの病的拡散パターンが再現され、病変が早期にあらわれた領域では、より多くの結合がみられるとの仮定の正しさが実証された。タウの異常の拡大のパターンが病勢を反映していたが、一方で、、アミロイドの蓄積は病勢と無関係にびまん性の広がりを示していた。蓄積したアミロイドがどのような機序で、病勢を反映することが示唆されたタウに変化をもたらすのかは、依然疑問が残る。しかし、アミロイドの蓄積がなくてもタウの異常を呈し、アルツハイマー病を発症した症例の報告もあり、病態解析に役立つ可能性のある興味深い論文と考え取り上げた。
監訳・コメント:大阪府立急性期・総合医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生
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