ヒト滑膜の3次元マイクロマスモデルにおけるインターロイキン10遺伝子治療による炎症反応の抑制
Suppression of the inflammatory response by disease-inducible interleukin-10 gene therapy in a three-dimensional micromass model of the human synovial membrane
Broeren MG1,de Vries M, Bennink MB, Arntz OJ, van Lent PL, van der Kraan PM, van den Berg WB, van den Hoogen FH, Koenders MI, van de Loo FA

1Experimental Rheumatology, Department of Rheumatology, Radboud Institute for Molecular Life Sciences, Radboud University Medical Center, PO Box 9101, 6500 HB, Nijmegen, The Netherlands.
Arthritis Res Ther. 2016 Aug 12;18:186. doi: 10.1186/s13075-016-1083-1.
遺伝子治療によって、変形性関節症(OA)患者の関節で治療に役立つ蛋白質を長期間産生させることが可能かもしれない。ヒトの滑膜を用いて作製した3次元マイクロマスモデルを用い、抗炎症性サイトカインであるインターロイキン10(IL-10)の治療法としての可能性を検討した。OA患者の滑膜組織から採取した細胞をマトリゲルと混合して3次元マイクロマスを作製した。リポポリサッカライド(LPS)、腫瘍壊死因子α(TNF-α)、インターロイキン1β(IL-1β)に対するCXCL10プロモーターの反応を調査した。CXCL10p−IL-10ベクターからのIL-10の産生および、炎症性サイトカインの産生に対するその効果をmultiplex ELISA法により評価した。滑膜細胞懸濁液を用いて作製したマイクロマスでは、滑膜の表層に似た、マクロファージと線維芽細胞様滑膜細胞を含む明らかな表面構造が形成された十分な量のIL-10が産生され、滑膜のIL-1βおよびIL-6の産生が抑制された。CXCL10p−IL-10ベクターを用いた遺伝子治療は、早期OAの局所治療の有望な戦略である可能性がある。
コメント
現在、変形性関節症(OA)の治療に難渋しているので有効な治療の開発が切望されている。本研究で基礎研究ではあるが、三次元マイクロマスモデルを用いて滑膜組織の細胞をマスに浸潤させ、滑膜構造をモデル化した系を作成した。これにTNF-α、IL-1β、IL-10で刺激し、更にCXCL10プロモーターにIL-10を組み入れたCXCL10p-IL-10ベクター導入によるIL-10産生の効果を検討した。その結果、IL-1β、IL-6の産生抑制がみられ、このような早期OAにおける局所への遺伝子治療の可能性が示唆された。しかし、臨床への応用にはかなりの距離がありそうである。
監訳・コメント:大阪大学 産業科学研究所 吉崎 和幸先生
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