抗D免疫グロブリンの安全な投与に関する胎児RHDスクリーニング検査の妥当性:オランダの予防プログラム参加コホートを用いた研究
Sensitivity of fetal RHD screening for safe guidance of targeted anti-D immunoglobulin prophylaxis: prospective cohort study of a nationwide programme in the Netherlands
de Haas M1, Thurik FF, van der Ploeg CP, Veldhuisen B, Hirschberg H, Soussan AA, Woortmeijer H, Abbink F, Page-Christiaens GC, Scheffer PG, Ellen van der Schoot C

1Department of Experimental Immunohematology, Sanquin Research, Amsterdam and Landsteiner Laboratory, Academic Medical Center, University of Amsterdam, Amsterdam, Netherlands.
BMJ. 2016 Nov 7;355:i5789. doi: 10.1136/bmj.i5789.
オランダでは妊娠27週時にRhD遺伝子を使った非侵襲的胎児スクリーニング検査を実施し、RHD陽性児のRHD陰性妊婦に対し抗D免疫グロブリンを投与し、新生児溶血性疾患の予防対策を行っている。妊婦のプログラム参加率は98%以上である。このスクリーニングプログラムは精度評価を目的とした研究である。胎児RHD陽性の有無を妊婦血漿1 mL中の胎児RHDのDNAを二重リアルタイム定量PCR検査で判定した。血液検体は1か所に集めて検査した。分析対象者は、2011年7月4日-2012年10月7日の期間にオランダのスクリーニングプログラムに参加し胎児RHD検査と臍帯血検査の両方を実施できたRHD検査陰性妊婦25,789例である。妊婦血液を使った胎児RHD検査の精度評価は出産後の臍帯血の血清を使った検査で行った。感度、特異度、偽陰性率、偽陽性率を計算した。感度99.94%(95%信頼区間:99.89%-99.97%)、特異度97.74%(97.43%-98.02%)であった。偽陰性9例(0.03%、0.01%-0.06%)、偽陽性225例(0.87%、0.76%-0.99%)であった。技術的問題は2例の検体にあった。RhD遺伝子弱い発現を認めた22例については妊婦に抗D免疫グロブリンを投与した。胎児RHD検査の陰性適中率99.91%(99.82%-99.95%)、陽性適中率98.60%(98.40%-98.77%)であった。妊娠27週に行った胎児RHD検査の信頼性は高く、妊婦の抗D免疫グロブリン投与が適切な対象者に安全になされていると判断できた。
コメント
妊婦がRhD抗原陰性で、胎児がRhD抗原陽性であると胎児や新生児は溶血性疾患を発症し時には致命的となる。欧米ではこのような妊娠例が日本と比べて多い。そのため妊婦に抗D免疫グロブリン投与が行われている。近年、臍帯血を使うことなく妊婦血漿の中に胎児RHD遺伝子の存在を検出できる検査が確立されたことから、臍帯血を使わず、胎児RHD検査を用いたスクリーニングプログラムがオランダで導入され、該当する妊婦に抗D免疫グロブリンが投与されている。その政策の妥当性を評価した研究である。日本ではスクリーニング検査が行われていない。胎児RHD検査をどう使っていくのか、検討が必要である。
監訳・コメント:関西大学 社会安全学研究科 公衆衛生学 高鳥毛 敏雄先生
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