ブルトン型チロシンキナーゼ欠損によりマウスの自己免疫性関節炎は抑制されるが免疫複合体を介する炎症性関節炎は阻止されない
Bruton's tyrosine kinase deficiency inhibits autoimmune arthritis in mice but fails to block immune complex-mediated inflammatory arthritis
Nyhoff LE1,Barron BL, Johnson EM, Bonami RH, Maseda D, Fensterheim BA, Han W, Blackwell TS, Crofford LJ, Kendall PL

1Vanderbilt University School of Medicine, Nashville, Tennessee
Arthritis Rheumatol. 2016 Aug;68(8):1856-68. doi: 10.1002/art.39657.
ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)は、自然免疫に関与するB細胞シグナル伝達蛋白質である。BTK阻害薬は自己免疫性関節炎を防御するが、オフターゲット作用があり、その防御機構は明らかでない。BTK欠損K/BxNマウスを用い、炎症性関節炎を引き起こす獲得免疫反応および自然免疫反応におけるBTKの役割を調査した。十分なBTKを有するK/BxNマウスとBTK欠損K/BxNマウスを比較したところ、BTK欠損マウスの方が関節炎の臨床スコア、肢の甲の厚み、ヘマトキシリン・エオシン染色により評価した炎症、軟骨破壊、骨びらんともに好成績であったことから、BTK欠損による関節炎の進行の抑制が認められ、BTK阻害薬の効果が確認された。また、B細胞の割合はBTK欠損マウスの方が十分なBTKを有するマウスに比べて有意に低く、サブセット解析ではすべての発達段階においてB細胞の減少が認められた。BTK欠損マウスの脾臓および膝窩リンパ節では胚中心(GC)B細胞およびGC濾胞ヘルパーT細胞が減少し、自己抗体が激減したが、総IgGにはわずかな低下しかみられなかった。BTK阻害薬とは対照的に、血清移入関節炎モデルではBTK阻害の影響は認められなかった。BTKは、自然免疫ではなくB細胞シグナル伝達における役割を介して自己免疫性関節炎に影響を及ぼす。
コメント
BTKはB細胞シグナル伝達蛋白で、BTK欠損により免疫不全となることが知られている。関節リウマチはT細胞系異常と共にB細胞系異常によって発症することが知られている。本研究によって、B細胞の減少、自己抗体の低下と共に関節炎の進行抑制が見られた。以上のことから、関節炎発症にB細胞の活性異常が関与することが示唆され、B細胞抑制による治療法の可能性を提示した。
監訳・コメント:大阪大学 産業科学研究所 吉崎 和幸先生
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