マンガンに曝露した溶接作業者における用量依存的なパーキンソニズムの進行
Dose-dependent progression of parkinsonism in manganese-exposed welders
Racette BA1, Searles Nielsen S, Criswell SR, Sheppard L, Seixas N, Warden MN, Checkoway H.

1 From the Department of Neurology (B.A.R., S.S.N., S.R.C., M.N.W.), Washington University School of Medicine, St. Louis, MO; School of Public Health, Faculty of Health Sciences (B.A.R.), University of the Witwatersrand, Johannesburg, South Africa; Department of Environmental and Occupational Health Sciences (L.S., N.S.), University of Washington, Seattle; and Department of Family Medicine and Public Health (H.C.), University of California, San Diego. racetteb@neuro.wustl.edu.
Neurology. 2016 Dec 28. pii: 10.1212/WNL.0000000000003533. doi: 10.1212/WNL.0000000000003533. [Epub ahead of print]
溶接作業者に広くみられるパーキンソニズムの表現型と進行性が、マンガン(Mn)を含有する溶接煙への曝露の程度と関連するか検討した。職種別労働組合ベースの縦断的コホート研究で、対象は溶接作業に曝露したアメリカ人労働者886例であった。運動障害の専門家による検査が行われ、労働者398例がフォローアップ検査を受けた。線形混合モデルによる回帰分析を行い、Mnへの累積曝露量を独立変数、統一パーキンソン病評価尺度の運動に関するパート3(UPDRS3)の年間変化量を主要結果変数、UPDRS3のサブカテゴリーを副次的結果変数とした。
パーキンソニズムは、Mnへの累積曝露量が多いほど進行した。詳細な勤務履歴から推定したMnへの累積曝露量(mg Mn/m3・年)につき、UPDRS3が年間で0.24(95%信頼区間0.10-0.38)変化した。曝露量は、上肢の動作緩慢、上肢および下肢の硬直、ならびに発語および表情の機能障害の進行と最も強く関連した。
コメント
本報告の主題ではないが、門脈大循環短絡によるchronic acquired hepatocerebral degeneration(CAHD)とMnとの関係が最近注目されている。この肝脳機能障害による代謝病は、遺伝子異常によるウイルソン病の後天性型として神経内科にとっては有名な疾患である。症状がMn中毒に類似し、パーキンソニズムを呈し、基底核にMnの蓄積が認められる。本報告は、天然ガス輸送パイプライン溶接工の間のMnを含有する溶接煙への職業的肺曝露後のドーパミン神経細胞毒に関して、暴露量によるパーキンソンニズムの表現型の差を詳細に検討したものである。Mnを含有する溶接煙への曝露は、パーキンソニズム、特に上肢の動作緩慢、四肢の硬直、ならびに発語および表情の機能障害の用量依存的な進行を引き起こすことが特徴のようである。Mn中毒の早期診断の重要性を労働衛生学的な手法で指摘したことに加え、その症候学的な指摘はCAHDの早期診断への寄与は大きいと考え取り上げた。
監訳・コメント:国立病院機構 大阪南医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生
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