甲状腺がん流行と韓国における検診との関連の検討:全国調査からの実証
Association between screening and the thyroid cancer "epidemic" in South Korea: evidence from a nationwide study
Park S1, Oh CM, Cho H, Lee JY, Jung KW, Jun JK, Won YJ, Kong HJ, Choi KS, Lee YJ, Lee JS.

1National Cancer Control Institute, National Cancer Center, Goyang, Republic of Korea.
BMJ. 2016 Nov 30;355:i5745. doi: 10.1136/bmj.i5745.
韓国で甲状腺がんが急増しているが、それが検診による過剰診断ではないかと考えた研究論文である。分析対象は、1999、2005、及び2008年に甲状腺がんと診断された患者をがん登録の中から地域による層別、系統的抽出法により無作為抽出し、5,796例(1999年891、2005年2,355、2008年2,550)について検討を行っている。甲状腺がんの年齢調整罹患率とがん発見方法(検診による発見 vs 医療機関受診による発見 vs 不明)の関係が1999と2008年について比較してみると罹患率(人口10万人対)は、6.4(95%CI:6.2-6.6)と40.7(CI:40.2-41.2)と、6.4倍(CI:4.9-8.4)増加していた。増加した症例の94.4%(罹患率34.4)は20 mm未満の腫瘤で、ほとんどが検診発見の症例であった。腫瘍分類で区分すると増加症例の97.1%は局所性のものであった。この期間に増加した臨床的確定症例の99.9%(罹患率6.4)は20 mm未満の腫瘍であった。韓国の甲状腺がんがこの間に大幅に増加したのは検診によりもたらされたと判断できる。過剰診断例を減らすには全国的にがん検診の実施についての関係者の理解と協力が必要である。
コメント
人間の体の中で常に異常細胞が発生し一部は腫瘍となり、その一部が悪性腫瘍となる。多くの小腫瘤は自然に消退するか進行しないで推移すると推測されている。そのためにがん検診を実施すると放置しておいてよい腫瘤を過剰に発見することとなる。がん検診の目的はがんの死亡率を下げることとすると、進行しないがんを多く発見しても死亡率は下がらず、検診の目的達成につながらない。同じことが「前立腺がん」や「神経芽細胞腫」の検診でも指摘されている。近年、条件が揃っていないものはがん対策の手段としてがん検診を採用すべきでないと考えられている。
監訳・コメント:関西大学 社会安全学研究科 公衆衛生学 高鳥毛 敏雄先生
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