ヒトの変形性関節症の軟骨におけるDNAメチル化の亢進および転写因子発現の減少
Increased DNA Methylation and Reduced Expression of Transcription Factors in Human Osteoarthritis Cartilage
Alvarez-Garcia O1,Fisch KM, Wineinger NE, Akagi R, Saito M, Sasho T, Su AI1, Lotz MK

1The Scripps Research Institute, La Jolla, California
Arthritis Rheumatol. 2016 Aug;68(8):1876-86. doi: 10.1002/art.39643.
正常な膝関節および変形性関節症(OA)の膝関節の軟骨のメチロームを比較し、遺伝子発現の制御におけるDNAメチル化の役割をin vitroにて評価するため、正常な膝関節の軟骨(11個)及びOAの膝関節の軟骨(12個)からDNAを抽出し、Infinium HumanMethylation450 BeadChipアッセイにより解析した。メチル化と転写の関連を明らかにするためRNAシークエンシングを行い、定量PCRによりバリデートした。さらに、ヒトのTC28細胞株と初代軟骨細胞をDNAメチル化阻害薬5-aza-dCで処理し、機能検証を行った。計500の遺伝子のメチル化の異なる部位929箇所において、45の転写因子が同定された。このうちの6つ(ATOH8、MAFF、NCOR2、TBX4、ZBTB16、およびZHX2)に、有意に高度なメチル化とダウンレギュレーションが認められた。TC28細胞株と初代軟骨細胞を5-aza-dCで処理したところ、これらの6つの転写因子が関与する遺伝子発現が有意に増加した。健康な膝関節の軟骨とOAの膝関節の軟骨のメチロームには有意な差がみられる。OA患者において発現が低下する転写因子を同定することによって、OA発病時の軟膏細胞のトランスクリプトーム及び機能の変化を説明できる可能性がある。
コメント
RAの研究は多数認められ、その結果生物学的製剤の開発により、著明に治療の改善が認められている。しかしながら、OAの研究はRAに比べ乏しい。本研究は軟骨細胞の活性化を抑制するDNAメチル化を指標として転写機能の低下によるOA変化機序を明らかにしようとしたものである。その結果メチル化阻害剤にて一部の転写因子遺伝子のメチル化が認められ転写機能の低下が認められた。現時点でOA軟骨細胞と健常軟骨細胞では有意にメチローム変化はなかったが、今後有意差のある細胞内変化を認めることができることを期待したい。
監訳・コメント:大阪大学 産業科学研究所 吉崎 和幸先生
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