睡眠時間が長いことは、早期神経変性のマーカーとして認知症発症を予測する
Prolonged sleep duration as a marker of early neurodegeneration predicting incident dementia.
Westwood AJ1, Beiser A, Jain N, Himali JJ, DeCarli C, Auerbach SH, Pase MP, Seshadri S.

1 From the Department of Neurology (A.J.W., A.B., J.J.H., S.H.A., M.P.P., S.S.), Boston University School of Medicine; Department of Biostatistics (A.B., J.J.H.), Boston University School of Public Health; Framingham Heart Study (A.B., J.J.H., S.H.A., M.P.P., S.S.); Department of Neuroscience (N.J.), Boston University, MA; University of California at Davis (C.D.), Sacramento; and Center for Human Psychopharmacology (M.P.P.), Swinburne University of Technology, Australia.
Neurology. 2017 Feb 22. pii: 10.1212/WNL.0000000000003732. doi: 10.1212/WNL.0000000000003732. [Epub ahead of print]
本研究の目的は、睡眠時間と、認知症発症リスクおよび脳老化との関連を評価することであった。Framingham Heart Study(n=2,457、平均年齢72±6歳、57%女性)において、自己報告による合計睡眠時間を調査し、3段階の変数に分類した(6時間未満[短い]、6から9時間[基準]、9時間超[長い])。
10年以上の追跡調査において、すべての原因の認知症症例234例を観察した。多変量解析において、睡眠時間が長いことは認知症発症のリスク上昇と関連した(ハザード比[HR]2.01、95%CI 1.24から3.26)。ベースラインで軽度認知機能障害を有した患者(HR 2.83、95%CI 1.06から7.55)が結果に寄与した。ベースライン以前の13年間(平均)で睡眠時間が9時間超に移行したことは、すべての原因の認知症(HR 2.43、95%CI 1.44から4.11)および臨床的アルツハイマー病(HR 2.20、95%CI 1.17から4.13)発症リスクの上昇と関連した。6から9時間睡眠と比べ長時間睡眠は、横断的に総脳容積が小さいこと(β±SE、-1.08±0.41単位は平均総脳容積の差)および実行機能が低いこと(β±SE、-0.41±0.13 SD単位はTrail Making Test BとAのスコア差)とも関連した。
コメント
認知症と睡眠との関連は以前より様々な報告がある。アルツハイマー病の病因として考えられているアミロイドβが睡眠中にグリンファティックシステムで除去されるという説がある。アルツハイマー病では、概日リズムの乱れで、入眠時刻が後退し、日没から入眠までの間にせん妄などの精神症状が出現するとの報告もある。
今回の報告は、睡眠時間が長いことは早期の神経変性のマーカーであり、したがって10年以内に臨床的認知症に進行するリスクが高い人を特定するための臨床的ツールとして有用性を指摘したものである。ノンレム睡眠など体、頭ともに休める質の良い睡眠の減少の有無のチェックなど客観的な睡眠の評価が必要と考えられるが、認知症予防においては「寝すぎはあかんよ」と指導しやすい指標であり、興味ある報告と思い取り上げた。
監訳・コメント:国立病院機構 大阪南医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生
PudMed: