全身性硬化症ではToll様受容体9のシグナル伝達が亢進し、トランスフォーミング増殖因子β依存性の線維芽細胞の活性化が誘発される
Toll-like receptor 9 signaling is augmented in systemic sclerosis and elicits transforming growth factor b − dependent fibroblast activation
Fang F1,Marangoni RG, Zhou X, Yang Y, Ye B, Shangguang A, Qin W, Wang W, Bhattacharyya S, Wei J, Tourtellotte WG, Varga J

1Northwestern University Feinberg School of Medicine, Chicago, Illinois.
Arthritis Rheumatol. 2016 Aug;68(8):1989-2002. doi: 10.1002/art.39655.
全身性硬化症(SS)では、トランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)によって線維芽細胞が活性化されることが知られているが、疾患の持続には他の経路が寄与していることが示唆される。自己免疫疾患及び線維症に関与するToll様受容体の発現、活性、発病における役割を、SS患者の皮膚生検検体及び線維症のマウスモデルを用いて調査した。ヒトの生検検体ではTLR9のアップレギュレーションがみられ、TLR9は主に線維芽細胞から検出された。検体では、TLR9経路の活性化のエビデンスも認められた。線維症のマウスモデルでは、病変部の真皮にTLR9陽性の筋線維芽細胞の蓄積が認められた。分離した線維芽細胞では、内因性TGF-β介在性の線維化反応がTLR9により誘導されることが明らかとなった。SS患者では、Type A CpGオリゴ核酸や皮膚のミトコンドリアDNAなどのTLR9リガンドによって、TLR9シグナリングの局所的な活性化やTGF-βの産生が誘発され、結果的に線維芽細胞が活性化すると考えられる。TLR9又はTLR9の下流のシグナル伝達経路を標的とした線維化プロセスの遮断は、SSの新規治療法である可能性がある。
コメント
全身性硬化症(SS)の皮膚硬化は真皮にける線維芽細胞の増進と活性化によりフィブリン等の産生亢進により真皮が厚くなり、これにTGF-βの関与が知られている。このたび、筋線維芽細胞上TLR9を介してTGF-β産生亢進による線維化誘導が示された。治療法が困難なSSの皮膚硬化にCpGアンタゴニストであるボルテゾミブ等によるTLR9シグナル阻害が有効であることが示唆された。しかし、臨床的には不明である。
監訳・コメント:大阪大学 産業科学研究所 吉崎 和幸先生
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