グルコーストランスポーター1欠損症症候群における発作性眼球-頭部運動
Paroxysmal eye-head movements in Glut1 deficiency syndrome
Pearson TS1, Pons R, Engelstad K, Kane SA, Goldberg ME, De Vivo DC.

1 From the Colleen Giblin Research Laboratory (K.E., D.C.D.), Division of Pediatric Neurology, Department of Neurology (T.S.P., R.P.), Department of Ophthalmology, Edward S. Harkness Eye Institute (S.A.K.), Mahoney-Keck Center for Brain and Behavior Research (M.E.G.), Department of Neuroscience (M.E.G.), and the Departments of Neurology, Psychiatry, and Ophthalmology (M.E.G.), Columbia University College of Physicians and Surgeons, New York, NY; Department of Neurology (T.S.P.), Washington University School of Medicine, St. Louis, MO; First Department of Pediatrics (R.P.), National and Kapodistrian University of Athens, Aghia Sofia Hospital, Greece; Kavli Institute for Neuroscience (M.E.G.), Columbia University; and the Division of Neurobiology and Behavior (M.E.G.), New York State Psychiatric Institute, New York. tpearson@wustl.edu roserpons@med.uoa.gr.
Neurology. 2017 Mar 24. pii: 10.1212/WNL.0000000000003867. doi: 10.1212/WNL.0000000000003867. [Epub ahead of print]
本研究の目的は、グルコーストランスポーター1欠損症症候群(Glut1 deficiency syndrome:Glut1 DS)の乳児にみられる特有の発作性眼球-頭部運動障害を記述することであった。Glut1 DS患者101例のカルテを後ろ向きにレビューし、患者10例の眼球運動エピソード18件の録画を分析した。
発作性の異常眼球運動の履歴が記録されていたのは患者101例中32例(32%)で、そのうち18例で詳細な記述が得られた。18例中15例(83%)においてエピソードは生後6ヵ月以前に始まり、痙攣と異常眼球運動の両方を経験した患者16例中10例(63%)において異常眼球運動は痙攣に先行して生じた。眼球運動エピソードは短かった(通常5分未満)。眼球運動は早く、多方向で、しばしば同じ方向の頭部運動を伴うことが明らかになった。眼球運動は、通常200から800ミリ秒の固視という明確な間隔により隔てられた。この動きは眼球-頭部のゲイズサッケードと一致し、同じ方向の頭部運動を伴うことにより眼球クローヌスと区別することができた。
コメント
Glut1 DSは、脳のエネルギー源であるグルコースが脳内に取り込まれないことにより生じる。乳児期早期に、異常眼球運動、けいれん発作で発症し、経過とともに精神発達遅滞、錐体路症状による痙性歩行、錐体外路症状の運動時のジストニなど多彩な症状を呈する。しかし、異常眼球運動を詳細に解析した報告は少ない。本報告は、発作性眼球-頭部運動を指す用語としてゲイズサッケード異常(aberrant gaze saccade)という言葉を提案し、これは乳児期にみられるGlut1 DSの初期症状であることを指摘した。
Glut1 DSは本邦では難病に指定されているが、診断が困難な例も多く、成人期に診断されることもある。Glut1 DSはケトン食による食事治療が有効な疾患であり、早期の診断が重要であるが、今回の異常眼球運動の報告は、この治療可能な神経発達障害の迅速な診断を促す貴重な報告であり取り上げた。
監訳・コメント:国立病院機構 大阪南医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生
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