脳アミロイド血管症においてtaxifolinはアミロイドβのオリゴマー形成を抑制し血管の健全性および記憶を完全に回復させる
Taxifolin inhibits amyloid-β oligomer formation and fully restores vascular integrity and memory in cerebral amyloid angiopathy
Saito S1, Yamamoto Y, Maki T, Hattori Y, Ito H, Mizuno K, Harada-Shiba M, Kalaria RN, Fukushima M, Takahashi R, Ihara M.

1 Department of Regenerative Medicine and Tissue Engineering, National Cerebral and Cardiovascular Center, 5-7-1 Fujishiro-dai, Suita, Osaka, 565-8565, Japan. saitosa@ncvc.go.jp.
Acta Neuropathol Commun. 2017 Apr 4;5(1):26. doi: 10.1186/s40478-017-0429-5.
本研究では、強力な抗酸化活性および抗糖化活性をもつフラボノールであるtaxifolinに、脳アミロイド血管症(cerebral amyloid angiopathy:CAA)を軽減する治療可能性があるかを検討した。基剤またはtaxifolinを投与したTg-SwDIマウス(CAAのモデルマウスとしてよく用いられる)を使用し、認知機能、脳血管機能、脳のアミロイドβ蛋白の溶解度およびオリゴマー化について調べた。
Taxifolinを投与されたTg-SwDIマウスでは、基剤を投与された対照に比べ脳血管における総アミロイドβおよびアミロイドβ1-40の蓄積が有意に少なかった(n=5)。基剤を投与されたTg-SwDIマウスでは空間参照記憶が重度に障害されたが、taxifolin投与後に正常化し、スコアは野生型マウスと同様であった(n=10-17)。さらにtaxifolinはTg-SwDIマウスにおいて低下した脳血流量および脳血管反応性を完全に回復させた(n=4-6)。Tg-SwDIマウスの脳ホモジネートにおいてtaxifolin投与後のin vivoでアミロイドβオリゴマーの量が有意に少ないことが示された(n=4-5)ことから、taxifolinのCAAへの作用はアミロイドβのオリゴマー形成抑制に起因することが示唆される。
コメント
今回、CAAのモデルマウスにおいてtaxifolinはアミロイドβオリゴマーの蓄積を抑制し、認知機能および脳血管機能を完全に維持する結果が得られた。taxifolinはCAAの有望な治療アプローチであると考えられ、今後の臨床治験の進行が楽しみである。一方同じく、アミロイドβオリゴマーの蓄積が関与すると考えられているアルツハイマー病(AD)の場合も病初期において、血管機能の破たんが引き金になるとの説もある。しかし、ADの場合一旦破壊された神経細胞が復活することは考えにくく、症状が出始めたころに使用開始しても時すでに遅しと考えられる。ADでの臨床治験はこれまでの治験薬と同様に対象の選定が困難となる可能性が高い。しかし、ADの進行抑制に果たす役割は大きいと考えられ、注目すべき論文であり、取り上げた。
監訳・コメント:国立病院機構 大阪南医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生
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