低LDLコレステロール、PCSK9とHMGCRの遺伝性変異、およびアルツハイマー病とパーキンソン病のリスク:メンデルランダム化試験
Low LDL cholesterol, PCSK9 and HMGCR genetic variation, and risk of Alzheimer's disease and Parkinson's disease: Mendelian randomisation study
Benn M1, Nordestgaard BG, Frikke-Schmidt R, Tybjærg-Hansen A.

1Department of Clinical Biochemistry, Rigshospitalet, Copenhagen University Hospital, Blegdamsvej 3, 2100 Copenhagen, Denmark Marianne.benn@regionh.dk.
BMJ. 2017 Apr 24;357:j1648. doi: 10.1136/bmj.j1648.
低比重リポ蛋白コレステロール(以下LDLコレステロール)代謝と生合成に関与する遺伝子(PCSK9と3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル-CoA還元酵素(HMGCR))の変異が、一般集団でのアルツハイマー病、血管性認知症、すべての認知症、およびパーキンソン病とのリスクと関係しているのかについて、コペンハーゲン一般人口集団研究とコペンハーゲン市心疾患研究プロジェクト(Copenhagen General Population Study and Copenhagen City Heart Study)に登録しているデンマーク一般人111,194名を対象として検討をした。
パーキンソン病については、LDLコレステロールの値が1.8 mmol/L未満と4.0 mmol/L以上の被験者のハザード比を補正して計算すると、1.70(95%信頼区間1.03-2.79)であった。アルツハイマー病、血管性認知症などの認知症については、ハザード比は1.0であり差が認められなかった。PCSK9とHMGCRの遺伝子の複合変異を有する者ではLDLコレステロール値が9.3%低かった。年齢、性別、および生年で補正した分析では、アルツハイマー病についてはLDLコレステロールの値が1 mmol/L低下のリスク比は0.57(0.27-1.17)、血管性認知症では0.81(0.34-1.89)であり、すべての認知症でも0.66(0.34-1.26)、パーキンソン病では1.02(0.26-4.00)であった。メンデルランダム化分析を用いた国際ゲノム科学アルツハイマープロジェクトの総括的データでは、26個のPCSK9とHMGCRの変異があるとアルツハイマー病のリスク比は0.24(0.02-2.79)、LDLコレステロール値低下の380個の変異があるとアルツハイマー病のリスク比は0.64(0.52-0.79)であった。
PCSK9とHMGCRの変異によるLDLコレステロールの低値は、アルツハイマー病、血管性認知症などのすべての認知症、およびパーキンソン病のリスクが高いということは認めなかった。むしろ、LDLコレステロール低値は、アルツハイマー病のリスクを低くすることと関連している可能性がある。
コメント
脳血管障害や虚血性心疾患とLDLコレステロール高値との関連があることについては知られている。他方で、LDLコレステロールが低値であるとパーキンソン病や認知症の発症リスクが高くなる可能性があると生化学的に推測されていた。そのために、本研究では、LDLコレステロールが遺伝的に低値であるとパーキンソン病や認知症の発病リスクが高くなっているのかどうかを検討したものである。低値であっても両疾患のリスクが高くないことが示している。やはり、LDLは悪玉コレステロールということになる。
監訳・コメント:関西大学 社会安全学研究科 公衆衛生学 高鳥毛 敏雄先生
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