脳卒中後疼痛に対する深部脳刺激の無作為化臨床試験
Randomized Clinical Trial of Deep Brain Stimulation for Poststroke Pain
Lempka SF1, Malone DA Jr, Hu B, Baker KB, Wyant A, Ozinga JG 4th, Plow EB, Pandya M, Kubu CS, Ford PJ, Machado AG

1 Center for Neurological Restoration, Neurological Institute, Cleveland Clinic.
Ann Neurol. 2017 May;81(5):653-663. doi: 10.1002/ana.24927.
疼痛に対する深部脳刺激の経験は、大部分が体性感覚経路を標的とする無対照研究に基づいており、結果は一貫していない。本研究では、辺縁神経経路を標的とすることが、疼痛の情動領域を変化させ苦痛を軽減するという仮説を検証した。
脳卒中後疼痛症候群を有する患者10例において、腹側線条体/内包前脚(ventral striatum/anterior limb of the internal capsule:VS/ALIC)を標的とする深部脳刺激の前向き二重盲検無作為化プラセボ対照クロスオーバー研究を実施した。主要エンドポイントは、深部脳刺激群の患者の50%において、対照群と比べPain Disability Indexが50%以上改善することとした。
9例の参加者が無作為化を完了した。この試験において、主要エンドポイントは達成されなかったが、疼痛の情動領域に関連する多数の評価項目(Montgomery-Åsberg Depression Rating Scaleなど)において顕著な差が観察された。重篤な有害事象が14件記録されたが回復した。以上の結果から、疼痛の情動領域を標的とする神経調節療法に関しさらなる研究を実施することが正当化されるものと考えられる。
コメント
大脳辺縁系への深部脳刺激による有効性は、強迫神経症やうつ病では報告されている。本報告は、脳卒中後疼痛において、疼痛の情動領域を変化させることを目的としたVS/ALICの深部脳刺激を検討したものである。著者らが指摘するように、結果は主要エンドポイントが達成されなかったものの、VS/ALICの深部脳刺激の安全性プロファイルが許容可能であること、そして疼痛の情動領域に関連する多数の評価項目が統計学的に有意に改善されることが示された。慢性疼痛管理における疼痛の情動領域を標的とする神経調節療法に関しさらなる研究を実施することを正当化したものである。
神経障害性疼痛は神経内科領域における話題の一つであり、末梢神経障害による疼痛に対する一次運動野の反復経頭蓋磁気刺激は有名である。今回の報告は中枢神経障害性に対する深部脳刺激療法であるが、神経変性疾患の代表であるパーキンソン病の非運動徴候としての痛みも大脳辺縁系由来として注目される徴候であり、今回の検討法のパーキンソン病治療への応用も考えられ、興味ある報告と考え取り上げた。
監訳・コメント:国立病院機構 大阪南医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生
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