臨床的にシヌクレイン病と診断されたパーキンソン症候群患者の生存率と死因:人口ベース研究
Survival and Causes of Death Among People With Clinically Diagnosed Synucleinopathies With Parkinsonism: A Population-Based Study.
Savica R1, Grossardt BR, Bower JH, Ahlskog JE, Boeve BF, Graff-Radford J, Rocca WA, Mielke MM

1Department of Neurology, Mayo Clinic, Rochester, Minnesota2Division of Epidemiology, Department of Health Sciences Research, Mayo Clinic, Rochester, Minnesota.
JAMA Neurol. 2017 May 15. doi: 10.1001/jamaneurol.2017.0603.
近年、シナプス前末端に存在する蛋白質に異常が認められるシヌクレイン病という概念が提唱されている。その中にレビー小体病、特発性パーキンソン病などが含まれている。その病気の患者の予後は知られていない。米国のロチェスター疫学プロジェクトの診療録システムを使い、1991から2010年にミネソタ州のオルムステッド郡の全住民の中からパーキンソン症候群とされた患者を選び、その中から診療録から臨床的にシヌクレイン病と判断された患者を抽出し予後を検討した。この患者群に対して、年齢と性別をマッチさせた同郡のパーキンソン症候群が認められない住民を対照群とした。両群の年齢と性別を補正して死亡リスク、診断から死亡までの期間、および死因を検討した。患者群、対照群の約60%が男性であった。患者群461例の中の疾患名は、パーキンソン病309例(67%)、レビー小体型認知症81例(17.6%)、パーキンソン病の認知症55例(11.9%)、およびパーキンソン症候群の多系統萎縮症16例(3.5%)であった。期間中の死亡率は、患者群68.6%、対照群48.7%で、患者群の方が2年早く死亡していた。多系統萎縮症患者の死亡リスクが最も高く(ハザード比10.51、CI 2.92-37.82)、ついでレビー小体型認知症(ハザード比3.94、CI 2.61-5.94)、パーキンソン病での認知症(ハザード比3.86、CI 2.36-6.30)、およびパーキンソン病(ハザード比1.75、CI 1.39-2.21)であった。最も頻度が高かった死因は、患者群では神経変性疾患、対照群では心血管疾患であった。パーキンソン症候群の中で、シヌクレイン病とされる多系統萎縮症、レビー小体型認知症、および認知症患者の死亡率が高かった。
コメント
α-シヌクレインは主として神経組織内シナプス前終末で圧倒的に多くみられる機能不明のタンパク質である。家族性パーキンソン病の中には遺伝子異常によるものがある。変異のない蛋白質は、可溶性で、安定な折りたたまれた形態をしているが、レビー小体型認知症・多系統萎縮症の患者では不溶性の原線維形成をしており、シヌクレイン病として区別されている。本研究は、この病態のパーキンソン病患者の予後が悪いことを示すものであった。
監訳・コメント:関西大学 社会安全学研究科 公衆衛生学 高鳥毛 敏雄先生
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