関節リウマチにおけるトファシチニブ療法による寛解率:寛解のさまざまな基準の比較
Remission rates with tofacitinib treatment in rheumatoid arthritis: a comparison of various remission criteria
Smolen JS1,Aletaha D, Gruben D, Zwillich SH, Krishnaswami S, Mebus C

1Medical University of Vienna, Vienna, Austria
Arthritis Rheumatol. 2017 Apr;69(4):728-734. doi: 10.1002/art.39996. Epub 2017 Mar 8.
関節リウマチ(RA)患者に経口JAK阻害薬トファシチニブ(1日2回5 mgまたは10 mg)が単独投与あるいは疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)と併用投与された第3相無作為化対照試験5件を用い、寛解のさまざまな基準を比較した。これらの試験で使用されていた赤血球沈降速度を含む4変数のDAS28(DAS28-4[ESR])のほか、C反応性蛋白を含む4変数のDAS28(DAS28-4[CRP])、CDAI、SDAIおよびBoolean法を用い、RA患者3,306例(トファシチニブ5 mg群1,213例、10 mg群1,212例、プラセボ群679例、実薬対照群202例)の疾患活動性を評価した。トファシチニブ5 mg群における寛解率は、DAS28-4(CRP)では18から22%、DAS28-4(ESR)では5から10%、SDAIでは4から7%、CDAIでは5から6%、Boolean法では2から7%であり、大きなばらつきがみられた。その一方、プラセボ群における寛解率は0から7%の範囲内であり、DAS28-4(CRP)とDAS28-4(ESR)の差もわずかであった。寛解率の数値は、基準に急性期反応物質が含まれるか否か、どのような急性期反応物質が含まれるかに左右される。トファシチニブのこれまでの試験のアウトカムの評価にはDAS28が使用されてきたが、この研究によって、治療使用の薬剤による試験デザインを考慮して評価方法を検討するのが重要であることが示された。
コメント
トファシチニブはJAK阻害剤であるので、サイトカインの産生に大きく左右する。即ち、関節評価に、IL-6、TNF-α等によって発現するマーカー、例えばCRP、血沈等が入っていると正しい関節活性評価が左右される。このたびの評価基準の比較によって、サイトカインの発現によって誘導されるCRP、血沈が評価判定に入っている評価基準による判定より、むしろ入っていないCDAI、SDAI、Booleanの方が、より客観性が高いと考えられる。したがって、臨床研究の研究デザインや実際の臨床で使用された治療薬をよく考慮して臨床効果を評価しなければならないことを示している。
監訳・コメント:大阪大学 産業科学研究所 吉崎 和幸先生
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