短報:関節リウマチに対する抗腫瘍壊死因子療法への反応においてタンパク質をコードする希少バリアントが果たす役割
Brief report: the role of rare protein-coding variants in anti-tumor necrosis factor treatment response in rheumatoid arthritis
Cui J1,Diogo D, Stahl EA, Canhao H, Mariette X, Greenberg JD, Okada Y, Pappas DA, Fulton RS, Tak PP, Nurmohamed MT, Lee A, Larson DE, Kurreeman F, Deluca TL, O'Laughlin M, Fronick CC, Fulton LL, Mardis ER, van der Horst-Bruinsma IE, Wolbink GJ, Gregersen PK, Kremer JM, Crusius JB, de Vries N, Huizinga TW, Fonseca JE, Miceli-Richard C, Karlson EW1, Coenen MJ, Barton A, Plenge RM, Raychaudhuri S

1Brigham and Women's Hospital, Harvard Medical School, Boston, Massachusetts.
Arthritis Rheumatol. 2017 Apr;69(4):735-741. doi: 10.1002/art.39966.
関節リウマチ(RA)患者の多くは抗腫瘍壊死因子(TNF)療法によって疾患がコントロールされているが、治療に反応しない患者も相当数存在する。本試験では、希少かつ低頻度の遺伝的バリアントが抗TNF療法への反応に影響する可能性があるという仮説を立てた。抗TNF療法下にあるヨーロッパ系RA患者1,094例から遺伝子を採取してコーディング領域のシークエンシングを行い、このうちの690の遺伝子を解析対象とした。抗TNF療法への反応に関与するバリアントを同定するため、まず発現頻度の高い単一バリアントとDAS28(主要評価項目)およびEULAR反応との関連を評価し、さらに希少バリアントを2つ以上含む遺伝子についてもこれらの評価項目との関連を調査した。同定された機能を有する14,420のバリアントのうち、6,934はnonsynonymousであり、そのうちの2,136は有害であることが予想された。しかし、いずれの単一バリアントや遺伝子にも、評価項目の変化量との有意な関連は認められなかった。TNFのシグナル伝達に関与する27の遺伝子についてgene set enrichment analysis(GSEA)を実施したが、強い関連を示すエビデンスは得られなかった(Penrichment=0.15)。
コメント
RA患者の多くがバイオ製剤のTNF-α阻害治療を受けているが、治療に有効か無効か、やってみないと分からないし、無効例も多く存在する。TNF-αの治療の効果予測をするため、タンパク発現遺伝子領域の発現頻度の高い単一遺伝子と効果評価のDAS28およびEULAR反応との関連を行った。また発現の低い2種の遺伝子とも同様に関連性を検討したが、強い関連性を示す遺伝子が見出されなかった。以上のことから、個人ごとの治療効果を予測することが困難であることが示された。しかし、RAの分野でも治療する前に効果が予測されることは、今後ますます必要である。
監訳・コメント:大阪大学 産業科学研究所 吉崎 和幸先生
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