小児期発症の炎症性腸疾患と発がんリスク評価:スウェーデンの1964-2014の全国コホートを使った研究
Childhood onset inflammatory bowel disease and risk of cancer: a Swedish nationwide cohort study 1964-2014
Olén O1, Askling J, Sachs MC, Frumento P, Neovius M, Smedby KE, Ekbom A, Malmborg P, Ludvigsson JF.

1Sachs' Children and Youth Hospital, Stockholm South General Hospital, Stockholm, Sweden ola.olen@ki.se.
BMJ. 2017 Sep 20;358:j3951. doi: 10.1136/bmj.j3951.
小児期に発症した炎症性腸疾患の患者における発がんリスクを評価するために1964-2014年のスウェーデンの全国患者登録(入院患者と専門外来患者)を用いたコホート研究を行った。がんの発病者は、スウェーデンのがん登録により把握した。小児期の新規に診断された炎症性腸疾患者は9,405例(潰瘍性大腸炎4,648例、クローン病3,768例、未分類989例)であり、これらの患者と一般人口集団から性・年齢・生年・国籍をマッチして選んだ92,870例を対照群として多変量Cox回帰によるハザード比を計算しリスク評価をした。成人期(追跡調査終了時年齢中央値27歳)の初発がんの発症は炎症性腸疾患者では497例(3.3/1,000人年)に対し対照群では2,256例(1.5/1,000人年)であり、このハザード比は2.2(95%CI:2.0-2.5)であった。疾患別に発がんのハザード比をみると潰瘍性大腸炎者では2.6(95%CI:2.3-3.0)、クローン病者では1.7(95%CI:1.5-2.1)であった。18歳未満の者では発がんのハザード比は2.7(95%CI:1.6-4.4)、9,405例中20例(0.6/1,000人年)であった。炎症性腸疾患者における消化器系がんの発症者は202例で、ハザード比は18.0(95%CI:14.4-22.7)と特に高かった。25歳未満の者の発がんリスクはどの期間でも同程度の高さであった。
コメント
小児期に炎症性腸疾患を発症した者においては、小児期と成人期の両方においても発がんリスクが全がんでも高く、とくに消化器がん、リンパ系新生物、皮膚がんでは高かった。大規模なコホート研究で確認したはじめての研究論文である。この高い発がんリスクは時間とともに低下していなかった。この結果に基づき炎症性腸疾患の健康リスク管理をどうしていくのかについて今後検討が必要である。
監訳・コメント:関西大学 社会安全学研究科 公衆衛生学 高鳥毛 敏雄先生
PudMed: