母親の出産前の栄養補助剤摂取状況と児童の自閉スペクトラム障害のリスク:ストックホルムにおける児童の地域コホート研究
Antenatal nutritional supplementation and autism spectrum disorders in the Stockholm youth cohort: population based cohort study
DeVilbiss EA1, Magnusson C, Gardner RM, Rai D, Newschaffer CJ, Lyall K, Dalman C, Lee BK

1Department of Epidemiology and Biostatistics, Dornsife School of Public Health, Drexel University, 3215 Market St, Philadelphia, PA, 19104, USA.
BMJ. 2017 Oct 4;359:j4273. doi: 10.1136/bmj.j4273.
スウェーデンのストックホルム県の母子273,107ペアを対象に妊娠中の母親の栄養補助剤の摂取と出産児の児童期の自閉スペクトラム症(ASD)の有病状況との関連をみた。対象者は1996-2007年に出生し、2011年12月31日まで観察できた4-15歳の児童であった。栄養補助剤の摂取指導により群分けした。リスク評価は、兄弟姉妹の状況に分け、傾向スコアマッチングを用いて多変量ロジステック回帰分析を用いて行った。最初の出産前受診時に総合ビタミン、鉄、および葉酸の栄養補助剤の摂取状況を聞き取り調査した。知的障害を伴う自閉症スペクトラム障害(以下、ASD)の有病率は、母親への総合ビタミン摂取群で0.26%(61,934例中158例)、非摂取群で0.48%(90,480例中430例)であった。鉄または葉酸、または両剤の摂取の有無に関わらず総合ビタミン摂取群では知的障害を有するASDのリスクが有意に低かった(オッズ比0.69、95%信頼区間0.57-0.84)。傾向スコアで補正(0.68、0.54-0.86)と兄弟姉妹の状況で補正(0.77、0.52-1.15)しても同様な結果であった。鉄または葉酸の摂取とASD有病率低下との関連は一貫した結果が得られなかった。
コメント
自閉症スペクトル障害(ASD)の50%から80%は遺伝的なものとされているが非遺伝的要因も関係しているとされている。母親のサプリメント摂取状況が胎児の神経発達に影響している可能性があると考え、両者の関連性についてこれまでコホート研究が行われてきたが、一貫した結果が得られていない。本ストックホルム研究では総合ビタミン剤を摂取することにより、ASDの発症率が低くなるとの結果であった。栄養補助剤の摂取により発生率が下がるのであれば対策に結びつけられそうである。
監訳・コメント:関西大学 社会安全学研究科 公衆衛生学 高鳥毛 敏雄先生
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