中年期のトリグリセリド濃度上昇は、20年後の脳のβ-アミロイド病変およびタウ病変を予測する
Increased midlife triglycerides predict brain β-amyloid and tau pathology 20 years later
Nägga K1, Gustavsson AM, Stomrud E, Lindqvist D, van Westen D, Blennow K, Zetterberg H, Melander O, Hansson O

1From the Clinical Memory Research Unit (K.N., A.-M.G., E.S., O.H.) and Clinical Research Centre (O.M.), Department of Clinical Sciences Malmö, Lund University; Memory Clinic (K.N., A.-M.G., E.S., O.H.), Skåne University Hospital, Malmö; Psychiatry (D.L.) and Diagnostic Radiology (D.v.W.), Department of Clinical Sciences Lund, Lund University; Department of Psychiatry and Neurochemistry (K.B., H.Z.), Institute of Neuroscience and Physiology, The Sahlgrenska Academy at University of Gothenburg; Clinical Neurochemistry Laboratory (K.B., H.Z.), Sahlgrenska University Hospital, Mölndal, Sweden; and Department of Molecular Neuroscience (H.Z.), UCL Institute of Neurology, Queen Square, London, UK. katarina.nagga@med.lu.se oskar.hansson@med.lu.se.
Neurology. 2018 Jan 2;90(1):e73-e81. doi: 10.1212/WNL.0000000000004749. Epub 2017 Dec 1.
本研究の目的は、認知機能が正常な高齢者を対象に、中年期の脂質濃度が20年後にアルツハイマー病の脳病変に及ぼす影響を評価することであった。中年期(平均年齢54歳)の空腹時脂質濃度のデータを有する認知機能が正常な参加者318例を対象とした縦断的コホート研究である。20年経過後(平均年齢73歳)、β-アミロイド(Aβ)およびタウ病変を、CSF中のバイオマーカーの定量化、Aβ(18F-flutemetamol)PETで確認した。
認知機能が正常な集団の約20%にAβ病変がみつかり、CSF中Aβ42濃度/リン酸化タウ(p-タウ)比から、16%にAβ病変およびタウ病変の両方がみつかった。中年期のトリグリセリド値が高いことは、CSF中Aβ42濃度の異常(オッズ比[OR]1.34、95%信頼区間[CI]1.03-1.75、P=0.029)およびAβ42濃度/p-タウ比の異常(OR 1.46、95%CI 1.10-1.93、P=0.009)と独立して関連した。中サイズおよび大サイズの低比重リポ蛋白画分の濃度上昇は、Aβ PETの異常と有意に関連した。
コメント
認知症と予防についての報告は多く、当updateでも睡眠との関連のものを取り上げたことがある(2017年4月号)。また昨年Lancet Neurologyでは中年期では肥満、難聴、高血圧が危険因子として指摘された。本論文は、重要な病態と考えられている、アミロイドβ、タウ蛋白と中性脂肪の関連性を指摘したものである。中年期のトリグリセリド濃度上昇は、20年後の脳のAβ病変およびタウ病変を予測し、特定のリポ蛋白画分も、Aβ病変のリスクファクターである可能性を指摘した。これらアルツハイマー病発症のごく早期に脂質が関係していることを支持する知見であるが、トリグリセリド濃度上昇は、ある程度自身でのコントロールが可能であり、予防的側面からも興味があり取り上げた。
監訳・コメント:国立病院機構 大阪南医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生
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