アルツハイマー病発症リスクの修正可能な経路:メンデルランダム化解析
Modifiable pathways in Alzheimer's disease: Mendelian randomisation analysis.
Larsson SC1, Traylor M, Malik R, Dichgans M, Burgess S, Markus HS; CoSTREAM Consortium, on behalf of the International Genomics of Alzheimer's Project.

1Unit of Nutritional Epidemiology, Institute of Environmental Medicine, Karolinska Institutet, 171 77 Stockholm, Sweden susanna.larsson@ki.se.
BMJ. 2017 Dec 6;359:j5375. doi: 10.1136/bmj.j5375.
国際ゲノム科学アルツハイマープロジェクト研究として、アルツハイマー病の症例17,008例と対照37,154例について、メンデルランダム化解析の手法を用いてアルツハイマー病の発症リスクの修正に関連する社会的要因を検討した。社会生活・生活習慣については24因子についてアルツハイマー病発症リスクとの関連をみた。教育歴については、教育修了1年増加するとオッズ比は0.89(95%信頼区間0.84-0.93、P=2.4×10-6)、大学修了のオッズ比は0.74(0.63-0.86、P=8.0×10-5)であった。教育歴はアルツハイマー病発症リスク低減と関連していた。生活習慣要因については、喫煙量の増加(1日タバコ10本あたり0.69、0.49-0.99、P=0.04)や25-ヒドロキシビタミンDの血清濃度の増加(20%濃度増あたり0.92、0.85-0.98、P=0.01)とアルツハイマー病発症オッズ比の低減と関連していた。しかし、コーヒー消費量の増加(1日1カップあたり1.26、1.05-1.51、P=0.01)はアルツハイマー病のオッズ比の上昇と関連していた。飲酒、血清葉酸、血清B12、ホモシステイン、心臓代謝因子、およびC反性蛋白とアルツハイマー病との関連は認められなかった。
コメント
アルツハイマー病には遺伝的な要因が大きいことが明らかにされている。しかし、これまでの観察研究により教育的な達成など、社会生活や生活習慣などの後天的な要因により発症リスクが変化することが示唆されている。本研究は、メンデルランダム化アプローチによりアルツハイマー病発症リスクの修正に影響を与えている要因を明らかにしようと行ったものである。高い教育歴、喫煙量が多い、血中の25-ヒドロキシビタミンD値が高いことが発症リスクの低減に、コーヒー摂取量が多いことがリスクの増加と関連していた。後天的な要因によりアルツハイマー病発症リスクが修正可能との結果は、超高齢社会となりアルツハイマー病者の増加が推測されているが、その予防対策が可能であることを示すものである。
監訳・コメント:関西大学 社会安全学研究科 公衆衛生学 高鳥毛 敏雄先生
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