健康的な食習慣の遵守と遺伝的リスクの長期的な体重増に及ぼす影響:2つのコホート研究に基づく遺伝子・食事の相互作用の分析
Improving adherence to healthy dietary patterns, genetic risk, and long term weight gain: gene-diet interaction analysis in two prospective cohort studies
Wang T1, Heianza Y, Sun D, Huang T, Ma W, Rimm EB, Manson JE, Hu FB, Willett WC, Qi L.

1Department of Epidemiology, School of Public Health and Tropical Medicine, Tulane University, New Orleans, LA 70112, USA
BMJ. 2018 Jan 10;360:j5644. doi: 10.1136/bmj.j5644.
肥満の遺伝的リスクを有する者に対しても健康的な質の高い食習慣を遵守させることが、長期的な肥満防止につながるのか。米国の医療従事者を対象とした代表的な2つのコホート研究集団の「Nurses' Health Study(以下、看護師コホート)」の女性8,828例、および「Health Professionals Follow-up Study(以下、医療者コホート)」の男性5,218例を使った前向きコホート研究により遺伝的要因と食生活要因の相互の関連を評価した。遺伝的素因スコアとして肥満に関連する77遺伝子を取り上げた。食習慣については、the Alternate Healthy Eating Index 2010(以下、AHEI-2010)、Dietary Approach to Stop Hypertension(以下、DASH)、およびAlternate Mediterranean Diet(以下、AMED)の3つの異なる食習慣パターンを使った。
食習慣に介入した追跡期間(1986-2006)の間に肥満度指数(以下、BMI)と体重を5回測定した。2つのコホートを合算して総括すると、肥満リスク遺伝子数が10増加すると4年後のBMI変化は、AHEI-2010スコアの低下者で0.07(SE 0.02)増、AHEI-2010スコアの上昇者で0.01(0.02)減であった。体重でみると各々0.16(0.05)kg増と0.02(0.05)kg減であった。肥満の遺伝リスク度合いを低、中、高の者に分けて分析したところ、AHEI-2010スコアが1SD増加するとBMIはそれぞれ-0.12(0.01)、-0.14(0.01)、および-0.18(0.01)と変化し、体重はそれぞれ-0.35(0.03)、-0.36(0.04)、および-0.50(0.04)kgと変化した。同様な相互作用はDASHでも認められたが、AMEDでは認められなかった。
コメント
肥満の遺伝的リスク要因を有する者でも厳密な食習慣の介入を行うことにより4年後の肥満の発生を予防しうることを立証した研究である。食習慣を改善させることは肥満の遺伝的リスクを強く持つ者に対しても有効であった。肥満は、遺伝的要因で規定されている部分もあるが、食習慣など生活習慣の改善により克服できることを示すもので、肥満は食習慣の改善でどのような人においても予防できることが示唆された。
監訳・コメント:関西大学 社会安全学研究科 公衆衛生学 高鳥毛 敏雄先生
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