乳児突然死症候群と骨格筋電位依存性ナトリウムチャネルNaV1.4障害との関連性 -症例対照研究による検討-
Dysfunction of NaV1.4, a skeletal muscle voltage-gated sodium channel, in sudden infant death syndrome: a case-control study
Männikkö R1, Wong L, Tester DJ, Thor MG, Sud R, Kullmann DM, Sweeney MG, Leu C, Sisodiya SM, FitzPatrick DR, Evans MJ, Jeffrey IJM, Tfelt-Hansen J, Cohen MC, Fleming PJ, Jaye A, Simpson MA, Ackerman MJ, Hanna MG, Behr ER, Matthews E

1MRC Centre for Neuromuscular Diseases, UCL Institute of Neurology and National Hospital for Neurology and Neurosurgery, University College London, London, UK.
Lancet. 2018 Mar 28. pii: S0140-6736(18)30021-7. doi: 10.1016/S0140-6736(18)30021-7.
乳児突然死症候群(SIDS)は高所得国での生後4週間の乳児の死亡原因となっている。この症候群は呼吸中枢機能障害との関連が考えられる。骨格・呼吸筋の収縮はSCN4A遺伝子にコードされているナトリウムチャネルNaV1.4との関連があると考えられる。NaV1.4遺伝子の変異により、ミオトニー、周期性四肢麻痺、先天性ミオパチー及び筋無力症候群を発生していることが知られている。致死的な無呼吸及び喉頭痙攣のある乳児においてSCN4A遺伝子変異が認められている。SCN4A遺伝子のまれな機能破壊的な変異とSIDS死亡乳児との関連度合いを検証した。方法は、ヨーロッパ系SIDS患者を含む2つの連続した278例を症例群とし、これに対し心血管疾患、呼吸疾患及び神経疾患の病歴のない民族的整合性のある729例を対照群とした症例対照研究による。両群間のSCN4A遺伝子の変異頻度を比較した(Exome Aggregation Consortiumの劣性アレル頻度<0.00005)。変異の生物物理学的特徴は異種発現系を用いて評価した。結果として、ケース群ではSCN4A変異が乳児278例中4例(1.4%)であった。対照群では729例中0例(0%)であった(p=0.0057)。SCN4A遺伝子変異はSIDS死亡乳児のNaV1.4機能に直接的に影響を与え、筋膜興奮性、呼吸機能及び喉頭機能を障害すると推測された。一部の乳児突然死において、SCN4A遺伝子変異は潜在的で修正可能な危険因子であることが示唆された。
コメント
乳児突然死症候群は、乳児のうつぶせ寝などの姿勢との関係が指摘されている。しかし、乳児の突然死の中には筋骨格系遺伝子変異と関連したものがあると推測されていた。本研究は症例対照研究によるものであり、因果関係を証明したものではないが、一部の乳幼児突然死症候群と遺伝子変異の間に関連があることをはじめて示したものである。今後、介入研究やコホート研究などを行い、因果関係や予防対策につながる研究の実施が求められている。
監訳・コメント:関西大学 社会安全学研究科 公衆衛生学 高鳥毛 敏雄先生
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