希少疾病に対する新生児スクリーニングの採用の国家の推奨と系統的レビューの実施との関連性
Association between use of systematic reviews and national policy recommendations on screening newborn babies for rare diseases: systematic review and meta-analysis.
Taylor-Phillips S1, Stinton C, Ferrante di Ruffano L, Seedat F, Clarke A, Deeks JJ

1Warwick Medical School, The University of Warwick, Coventry CV4 7AL, UK S.taylor-phillips@warwick.ac.uk.
BMJ. 2018 May 9;361:k1612. doi: 10.1136/bmj.k1612.
新生児の血液スポット検査を用いた希少疾病に対するスクリーニングを国が推奨するかどうかについて系統的レビューとどのような関係にあるのかを検討した論文である。各国のスクリーニング検査の情報源は26の各国の全国的なスクリーニング実施機関のウェブサイトである。採用したレビュー文献は、学会誌の記事、論文、法・行政的文書、会議要約または報告書である。評価ポイントは、系統的レビューなどに基づいて推奨しているのか、スクリーニング検査の精度管理を行っているのか、早期発見の利点があるのか及び過剰診断による潜在的危害がないのかとし、レビューア2名で評価を行った。系統的レビューに基づいてスクリーニング検査を行っているのかについてオッズ比を計算して評価した。93件の文献に基づき、14か国の104疾患について合計276の推奨(分析単位)検査があった。276のスクリーニング検査について、推奨するとしたものが159(58%)、推奨しないとしたものが98(36%)、いずれでもないが19(7%)であった。系統的レビューに基づいて推奨されたものは276の中でわずか60(22%)のみであった。系統的レビューを行っていた場合に推奨して検査を実施している割合が低かった[実施23/60(38%)対非実施136/216(63%)、オッズ比0.17(95%信頼区間:0.07 - 0.43)]。推奨にあたって、検査の精度、早期発見の利点、及び過剰診断について考慮されていないスクリーニング検査は、それぞれ115(42%)、83(30%)、及び211(76%)であった。
コメント
新生児の血液スポット検査を用いた希少疾病に対する新生児スクリーニング検査を推奨するにあたり系統的レビューを行っているかどうかは国による違いが大きかった。スクリーニング検査には早期発見の利点があることもあるが治療法がなく利点がないこともある。また検査による危害や過剰診断による弊害もある。日本については推奨している31の検査について系統的レビュー評価をなさずに実施されているとしている。これに対して欧州諸国の多くでは系統的レビューが行われていた。スクリーニング検査の推奨のあり方は国の人口規模や保健医療制度との違いもあるが国際的にはエビデンスに基づいて推奨される状況にある。わが国もそれに近づく必要がある。
監訳・コメント:関西大学 社会安全学研究科 公衆衛生学 高鳥毛 敏雄先生
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