全身性エリテマトーデス


 全身性エリテマトーデスsystemic lupus erythematosus(SLE)は膠原病の中の代表的疾患である。若い女性に好発し、再発・緩解をくり返す全身性の炎症性疾患である。
 多くの臓器が障害されるので、臨床像は多彩であり、多種類の自己抗体が検出され、とくに抗核抗体の出現が重要である。

病因

 真の病因は不明である。いくつかの原因が重なり合って起こると考えられている。
 たとえば、まず免疫異常である。自己抗体が認められることから自己免疫現象によってひき起こされると考えられている。とくに、サプレッサーTリンパ球の機能低下やポリクローナルBリンパ球活性化が深くかかわり合っているといわれる。
 第2の原因として、ウイルスの関与である。SLEの患者腎組織に細管状封入体(ウイルス様粒子)が電子顕微鏡で認められる。しかし、これが真の原因であるという証拠はいまだ得られていない。
 第3に、遺伝的背景が考えられる。SLEでは近親者間の発症がみられたり、ある種の薬剤(ヒドララジン、ジフェニルヒダントイン、プロカインアミドなど)で誘発されやすい素質(ルプス素因)があることなどがその根拠となっている。

臨床像

1. 発熱

 高熱がみられる。熱型に特徴がない。抗生物質に反応しない。

2. 皮膚症状

 顔面の蝶形紅斑が特徴的である。その他、指尖や爪囲の紅斑、円盤状ルプス、脱毛、レイノー現象、口腔内潰瘍などもみられる。日光過敏も重要で、日光にあたると紅斑の誘発、増悪をみ、さらには発熱、関節症状などもひき起こす。

3. 関節症状

 多発性関節炎をみる。慢性関節リウマチと異なり、変形強直を残さない。

4. 腎症状

 SLE腎症、ルプス腎炎といわれ、予後を左右する重要な病変である。蛋白尿、血尿、円柱尿がみられ、しばしばネフローゼ症候群を呈する。

5. 精神神経症状

 脳、脳神経、髄膜、脊髄、末梢神経などが侵される。精神症状としては錯乱、幻覚、妄想、抑うつなどをみることがある。SLEによる精神症状と、ステロイド剤投与により誘発されるステロイド精神病との識別は、臨床上しばしば問題となる。

6. 呼吸器症状

 胸膜炎、びまん性間質性肺炎などをひき起こす。

7. 心症状

 心外膜炎、心内膜炎(Libman-Sacks型)、冠動脈病変などがみられる。

8. 眼底変化

 網膜病変として小さな円形白斑(cotton wool spot)をみる。

 SLEの臨床症状をまとめて表1に掲げる。

検査

 貧血、白血球減少、血小板減少、尿蛋白陽性、赤沈亢進、CRP陽性、高γグロブリン血症などがみられる。梅毒でもないに血清ワッセルマン反応が陽性になることは注意すべきで、これを梅毒反応生物学的偽陽性(BFP)という。
 重要なことはLE細胞がみられること、抗核抗体陽性、抗DNA抗体陽性、抗Sm抗体陽性、補体価低値、免疫複合体増加である。抗核抗体には多くの種類、検査法が知られている。

予後

 活動期には副腎皮質ステロイド剤が第一選択剤である。
 とくに腎症、中枢神経症状、心外膜炎など生命の予後に影響するような病状のあるときは、大量投与が必要となる。全身的臨床症状や抗DNA抗体、補体価、尿所見などに合わせて減量が行われる。
 非ステロイド性抗炎症剤の併用、免疫抑制剤の投与なども考慮される。ときに腎不全に対して血液透析の行われることもある。
 SLEは難病の1つである。昔に比べて確かに予後はよくなった。


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