サルコイドーシス


 サルコイドーシスはリンパ節、肺、皮膚、眼、心など多くの臓器に類上皮細胞肉芽腫を作る全身性の病気である。
 その真の原因は不明であるが、なんらかの免疫異常が関与してることが想像されている。
 侵される臓器は胸郭内(肺門・縦隔リンパ節、肺)、表在リンパ節、皮膚、心、唾液腺、神経系、肝、腎、消化管、骨、筋肉など、ほとんど全身に及ぶ。侵されるおもな臓器の頻度は表1に示す通りである。
 死因となるのは心病変、肺病変、中枢神経病変で、日常の生活に支障をきたすのは、眼と呼吸器に病変がくることである。

頻度

 新患者発生率は年間人口10万に対し1〜2名くらいといわれている。患者分布は南・西日本に比べて北・東日本が多いようである。家族内に多発したり、ある地域に多発したという報告もある。
 男女はほぼ同数であるが、集団検針の機会の少ない女性が男性と同数発症していることから、むしろ女性のほうが患者実数は多いのではないかという人もいる。
 年齢は男女とも20歳代に大きなピークがあるが、女性では40〜59歳にもう1つの山がある。

臨床像

1. 発見の動機

 わが国では男性患者の約60%、女性患者の約40%は集団検診の際の胸部X線撮影で発見されている。このことは自覚症状が現れることの少ないことを意味している。次に多いのは目の症状で、眼科に行って発見されることもよくある。

2. 呼吸器症状

 咳などの症状はそれほど強くない。

3. 眼症状

 症状としては霧視が多く、これは両眼性のブドウ膜炎と網膜血管周囲炎によるものである。放置すると、高度の視力障害になる。

4. 皮膚症状

 結節性紅斑、皮膚サルコイド、瘢痕浸潤などをみる。

5. 表在リンパ節腫脹

 皮膚と癒着しない無痛性のリンパ節腫脹をみる。

6. 心病変

 心筋にサルコイド結節ができ、心筋障害を起こし、心不全となることがある。

7. 肝病変

 症状を訴えることは少ないが、肝を生検すると、サルコイド結節が認められる。

8. 筋病変

 筋肉にもサルコイド結節がみられるが、臨床的に筋力低下や筋萎縮をみることは少ないようである。

9. 骨病変

 手足の骨に病変がみられ、X線像で骨梁の菲薄化、円形透亮像をみることがある。

10. 神経病変

 末梢神経障害としては顔面神経を中心とした脳神経障害が多くみられる。中枢神経サルコイドーシスは慢性に起こり、その病変部位により痙攣、意識障害、運動失調など、多彩な神経症状を呈する。中枢神経サルコイドーシスは年余にわたることが多く、予後不良である。

検査所見

1. 胸部X線検査

 サルコイドーシスでは何といっても胸部X線検査が重要である。
 Wurm-Heilmeyerの分類がふつう用いられる(表2)

2. CT検査

 縦隔リンパ節の腫脹を診断するのに適している。

3. 67Gaスキャン

 病変部に67Gaの蓄積がみられる。活動性の指標となる。

4. 呼吸機能検査

 第U、V期では肺気量、コンプライアンス、肺拡散能が低下する。

5. 免疫学的検査

(1)ツベルクリン反応陰転化

(2)γグロブリン増加

(3)Tリンパ球減少、リンパ球のPHA反応性低下

(4)気管支肺胞洗浄液(BALF)中のTリンパ球増加

6. 生化学的検査

(1)ACE(angiotensin converting enzyme)上昇

(2)血清リゾチーム高値

診断

 BHL、ブドウ膜炎、ACE高値を認めたら、臨床的にサルコイドーシスと診断してよいでしょう。診断困難な場合は生検に頼らざるをえない。生検の場所は皮膚、表在リンパ節が優先する。その他、肺気管支生検、前斜角筋生検、縦隔洞生検、肝生検、筋生検などが行われるが、どうしても診断できないときは最後の手段として開胸肺生検をすることもある。
 各生検による診断陽性率は表3に示す通りである。

予後

 70〜80%の症例は3〜5年以内に自然に軽快する。20%は経過遷延し、5%は進行する。年齢30歳未満、肺外病変のないもの、自覚症状のないものは予後良好である。
 死亡例はそう多くないが、死亡例の大部分は心不全によるものである。肺病変による死亡例は10年以上経過した慢性例でみられる。


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