皮膚筋炎 dermatomyositis は骨格筋の広範囲な非化膿性炎症と特徴的な皮疹をみる膠原病のひとつである。皮膚症状が明確でないとき多発性筋炎 polymyositis という。
本症で抗核抗体(抗Jo-1抗体)がみられること、病理組織学的に病変部にリンパ球浸潤がみられること、副腎皮質ステロイド剤や免疫抑制剤が有効であることなどから自己免疫機序による発症が示唆されている。
性差は、やはり女性に多く、2〜3:1といわれている。
1. 筋症状
左右対称に骨格筋の筋力低下がみられる。四肢近位筋を侵されることが特徴的である。そのため上肢の挙上困難、下肢では歩行困難となる。そのほか握力低下もみられる。
また、頸部屈筋の病変で頭を枕から挙げることができなかったり、咀しゃく筋の筋力低下による開口障害や咽喉筋障害で、嚥下困難、発声障害がみられる。2. 皮膚症状
皮膚症状は筋症状に先立ってみられることが多いとされている。
顔面、頸部、前胸部に浮腫状紅斑がみられる。顔面の上眼瞼部にできるライラックの花の色に似た薄い赤紫色の紅斑は、ヘリオトロープ皮疹といい、皮膚筋炎の特徴とされている。
手指、肘、膝の関節伸側面にも鱗屑を伴う紅斑がみられる。とくに指節筋背面にみられる紅色丘疹はゴットロン徴候といい、これも皮膚筋炎で特徴的である。
その他、毛細血管拡張、色素沈着・脱失、皮膚萎縮、湿疹様、じん麻疹様発疹など多彩な皮膚症状を示す。
レイノー現象は本症でもみられることがあるが(15〜30%)、PSSより頻度も低く、あっても一般に軽度である。3. 悪性腫瘍の合併
本症で重要なことは悪性腫瘍の合併である。とくに50歳以上の皮膚筋炎における悪性腫瘍の合併率は高く、実に50%に達するといわれている。合併する悪性腫瘍は、本邦では胃癌がもっとも多く(40%)、ついで肺癌、子宮癌、乳癌などである。したがって皮膚筋炎患者では、診断された時点で、徹底的に悪性腫瘍の検索を行うことが大切である。
また、皮膚筋炎に悪性腫瘍を合併した例では、本来の悪性腫瘍単独例より、その進行が早いといわれている。4. 関節症状
多発性の関節痛がみられる。早期にみられることが多く、このときは慢性関節リウマチと鑑別が難しいことがある。しかし、本症の関節病変では変形をみることはない。
5. 肺病変
肺病変は従来言われていたより高率にみられるようである。間質性肺炎、肺線維症などがみられる。
胸部X線上、びまん性間質性変化は本症でもよくみられる所見である。
1. 血中筋由来酵素
筋由来酵素として血清CK(クレアチンホスホキナーゼ)、GOT、GPT、LDH、アルドラーゼ値などが上昇する。このうちとくにCKは筋炎の活動性を反映し、治療効果の判定、薬剤減量の指標として重要である。
CKアイソザイムではMM型(骨格筋)が増量する。2. 筋代謝産物の測定
尿クレアチン排泄量が増加する。正常では60mg/日以下であるが、本症では200mg/日以上になる。
また、尿クレアチン係数が高値となる。尿クレアチン係数とは、
24(クレアチン+クレアチニン)排泄量×100(%) 時間尿中クレアチン排泄量/24時間尿
により算出され、正常では10%である。
3. 自己抗体
抗Jo-1抗体がもっとも診断的に価値がある。陽性率は30%程度であるが、他の疾患で陽性になることはないとされている。とくに肺線維症を伴う例で陽性率が高いといわれている。
リウマチ因子もしばしば陽性となる。4. CRP陽性、赤沈亢進、高γグロブリン症、血中ミオグロブリン上昇
5. 筋電図
筋原性変化が認められる。安静時のfibrillation positive sharp wave、随意収縮期のshort d-uration(1〜4msec)、low amplitude(100〜300μV)などがみられる。
6. 筋生検
圧痛のある近位筋(ふつう三角筋)を採取する。筋線維の変化による筋線維の部分的消失とそれに伴うtube formationが特徴である。再生像や筋間質の線維化、細胞浸潤(リンパ球やマクロファージなど)もみられる。筋生検は本症診断上重要である。
その病型は表1に示す通りであるが、成人にみられる多発性筋炎、皮膚筋炎が代表格である。さらに悪性腫瘍を合併する多発性筋炎、皮膚筋炎やほかの膠原病との合併例などがある。
筋力低下と特徴的な皮膚症状、血中筋由来酵素値、筋電図、筋生検などから診断する。診断基準を表2に示す。
膠原病の中では予後はよいとされている。
副腎皮質ステロイド剤がよく反応するが、再発をくり返すことが多いので注意が必要である。
悪性腫瘍合併例では予後不良であることは言うまでもない。悪性腫瘍合併例でも、肺線維症の進行には注意しなければならない。