結節性多発動脈炎(結節性動脈周囲炎)


 結節性多発動脈炎 polyarteritis nodosa、PNは全身の中・小動脈の内膜、中膜、外膜を侵す血管全層炎である。臨床像が多彩であるため診断をつけることの難しい病気である。
 かつては死後剖検によって診断されることが多かったが、最近では生検(腎、皮膚、筋)と血管撮影により生前に確診ができるようになった。

頻度

 膠原病の6疾患のうちではもっとも頻度の低い病気である。男女比は2:1で男性に多いことも膠原病の中では特異的といえる。年齢的には40歳代と70歳代に2つのピークがある。

臨床像

 あらゆる臓器の中・小動脈に病変を生じるので、侵された臓器の臨床症状が出現する。

1. 全身症状

 不定の高熱がみられ、抗生物質に反応しない。全身倦怠感、体重減少、食欲不振などもみられる。

2. 腎症状

 高頻度にみられる。尿所見は多彩で蛋白尿、血尿、円柱尿などがみられる。沈渣にすべての所見がでそろうことをteles coped sedimentといい、PNの特徴とされる。腎病変が進行して腎不全、尿毒症になる率は高いとされてる。

3. 循環器症状

 高血圧、冠状動脈病変による心筋梗塞をみる。高血圧は腎障害の程度と平行することが多いようである。心不全におちいることもあり、死因は腎に次いで高いとされる。

4. 消化器症状

 腹痛、吐血、下痢、下血などの症状を呈するが、これは腸間膜動脈、肝・胆・脾動脈の血管炎によるためである。ときに腸梗塞、腸閉塞を起こして緊急手術の適応となることがある。
 腹部血管造影で多発性の小動脈瘤を認めることが診断上重要である。また腸X線上、小腸粘膜のthumb printing像も特徴的である。

5. 呼吸器症状

 咳嗽、喀痰、胸痛、呼吸困難などがみられる。喘息様症状は本症の初発症状として認められることがある。
 気管支動脈や肺動脈の血管炎による梗塞が病変の主体である。

6. 中枢神経症状

 精神症状、痙攣発作、脳神経症状、片麻痺などをみるが、これも脳の血管炎によるものとされている。ときに典型的な脳卒中症状をみることもある。これらはPNの末期にみることが多いようである。

7. 末梢神経障害

 四肢末梢の知覚異常、激痛、灼熱感、下垂足、下垂手などがみられる。多発製単神経炎の型でくることが多いのだが、これも末梢神経栄養血管炎によるものである。

8. 関節症状

 関節痛はしばしばみられるが、変形をきたすことはない。

9. 筋症状

 筋痛、筋力低下をみることがある。

10. 皮膚症状

 小豆大からクルミ大の皮下結節が主として下肢に現れる。圧痛がある。

 皮膚血管炎として、樹枝状皮斑、細網状皮斑がみられる。その他、紫斑、潰瘍、壊疽をみることもある。PNの主要症状出現頻度を表1に示す。

診断

 従来より診断の難しい病気とされている。もしPNを疑ったら、筋生検(血管炎をみるため)と腹部血管造影(多発する小動脈瘤をみるため)を行うことが必要である。腎の生検もしたいのだが、進行する腎障害のためにできないことがしばしばある。
 検査として大切なのは尿所見であるが、末梢血液所見で白血球増多、好酸球増多、血小板増多も重要なことである。

予後

 膠原病の中では予後不良の1つとされている。しかし近年、早期診断が可能になり、ステロイド剤大量投与が早期から適切に行われるようになり、予後は着々と改善されてきたが、それでも5年生存率は80%といわれてる。
 死因は腎不全がもっとも多く、脳血管障害、心不全がこれに次いでいる。


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