潰瘍性大腸炎


 潰瘍性大腸炎 ulcerative colitis は大腸の粘膜および粘膜下層にびらんや潰瘍を作るびまん性の非特異性炎症である。血性下痢を主徴とし、軽症から重症までさまざまな病態を示し、重症例では生命をも脅かすことがある。

頻度

 15歳から35歳までの発病が多く、発病のピークは男女とも20〜24歳にある。最近では若年層に発病する患者がふえているといわれている。
 男女差はない。
 人種別では白人に多く、アジア、南米、アフリカでは少ないとされている。アメリカ、英国の発病率はわが国の10〜20倍高いといわれている。
 原因としては多くの説が報告されているが、定説はない。考えられる病因として、腸内細菌による感染説、アレルギー説、自己免疫説、食事説、心理的要因説などが挙げられるが、いくつかの因子が重なるものとみられる。

臨床像

 病変の拡がりによる分類を表1に示す。下部大腸に初発し、病変はその部位に限局するか(左側大腸炎型)、上行性に拡がり大腸全体を侵す(全大腸炎型)ことが多いようである。
 重症度による分類は表2に掲げている。
 症状としては慢性の粘血便、血便である。ときに腹痛、発熱も伴う。
 本症が疑われる場合には、細菌学的、寄生虫学的検査を行い、感染性大腸炎を除外し、直腸鏡を行って、本症に特徴的な腸病変を確認する。この際、できるだけ生検を行い、病理組識学的にもみておくことが大切である。さらに注腸X線検査や内視鏡検査を行って、腸病変の性質、程度、範囲などを調べる。
 一般検査所見では、白血球増加、CRP陽性、赤沈値の亢進がみられる。病状が進行すると、貧血、低蛋白血症、電解質アンバランスをみる。
 鑑別すべき疾患としては、クローン病、大腸結核、アメーバ赤痢、細菌性赤痢、虚血性腸炎、偽膜性腸炎などが挙げられる。このうち、クローン病、腸結核との鑑別の要点を表3に示す。

予後

 発病後10年以上経過した本症の予後調査によると、死亡8%、緩解15%、再燃治療中20%、受診せず28%、不明26%、その他2%であるといわれてる。
 外科手術を受ける例は、本症の約30%といわれる。
 内科的治療のみで10年以上たって、なお再燃治療をしている患者は約25%もいるから、この病気の治療がいかに難しいかがわかる。


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