悪性関節リウマチmalignant rheumatoid arthritis(MRA)とは、明らかな慢性関節リウマチ(RA)が存在し、心、肺、消化管、神経などの内臓病変の症状を呈し、予後の悪い病気に対して、Bevans(1954)が名づけた病気である。
我が国における悪性関節リウマチの患者数は全慢性関節リウマチ患者の0.5〜1.0%、全国で約2000〜3000人といわれている。
発症年齢は50歳代にピークをもち、慢性関節リウマチよりやや高齢である。また、性別では慢性関節リウマチに比べて男性にもみられる率が高く、男女比は1:2である。
慢性関節リウマチと同様に真の原因は不明だが、体質、素因、自己免疫の関与が示唆される。
悪性関節リウマチ患者の慢性関節リウマチ家族内発症の頻度は14%と高いのだが、遺伝性疾患といわれるほどの強い関連性は認められていない。
HLAとの関連では慢性関節リウマチと同様にDR4と相関するが、その相関性は慢性関節リウマチより強いといわれる。
免疫学的な異常については、リウマトイド因子の高値陽性、抗核抗体陽性、血清低補体価、免疫複合体高値、抑制性Tリンパ球機能低下など多彩な所見が認められている。
悪性関節リウマチは基本的には慢性関節リウマチに壊死性血管炎を伴ったものをさす。悪性関節リウマチにみられる血管病変は以下の3型に分類される。
(1)RA型(32%):血管壁にリウマトイド結節様病変を示す壊死性血管炎。
(2)PN型(56%):多発性動脈炎(PN)様のフィブリノイド血管炎。
(3)EA型(12%):閉塞性動脈内膜炎(endoarteritis、EA)で、内膜の増殖のみのものも含む。
悪性関節リウマチのPN型と古典的なPNとの違いが問題になるが、組識学的にはほとんど区別がつかない。しかし悪性関節リウマチのPN型は古典的PNに比べて発症の頻度は低く、腎血管にはほとんどみられない点が異なるとされている。
1. 慢性関節リウマチの既往
罹病年数の長い慢性関節リウマチをすでにもっている。多くはclasicalないしdefiniteRAで、骨・関節の変化も強くみられる(stageV以上)。
2. 全身症状
発熱、体重減少、易疲労感、食欲不振などがみられる。
3. 皮膚症状
皮下結節、紫斑、潰瘍、壊疽などがみられる。
4. 肺病変
間質性変化、胸膜炎、肺線維症などがみられる。
5. 心病変
心肥大、心外膜炎、冠状動脈炎による狭心症ないしは心筋梗塞をみる。
6. 神経症状
多発性単神経炎による知覚異常、下垂手、尖足などがみられる。
7. 消化器症状
腸間膜動脈の血管病変による腸梗塞、イレウス症状を呈することがある。
8. その他
眼科的には上強膜炎と虹彩炎を認めることがある。
以上のようにPNの臨床症状とよく似ているが、腎病変と中枢神経症状の稀な点がPNと異なる。
悪性関節リウマチの臨床症状出現頻度を表1に示す。
(1)リウマトイド因子高値陽性
(2)赤沈亢進、CRP陽性
(3)血清補体値低下
(4)白血球増加、好酸球増加、血小板増加
(5)血中免疫複合体増加
(6)高γグロブリン血症
(7)関節・胃X線所見。慢性関節リウマチのstageV以上を呈することが多く、骨・関節の破壊像を認める。
悪性関節リウマチの検査所見陽性頻度を表2に示す。
悪性関節リウマチの予後は悪く、診断確定1年後の予後は死亡34%、悪化32%、不変18%、寛解16%といわれる。
死因は心不全、感染症、呼吸不全が主なものである。