アミロイドーシス


 アミロイドーシスは、アミロイドという蛋白質が全身性、あるいは局所性に細胞外に沈着する原因不明の疾患である。診断は非常に難しく、生検のみが生前の確診の手段となる。治療も特異的なものはなく、病型に応じた対症療法が中心となる。

頻度

 原発性アミロイドーシスは40歳以上に多く、60歳代が最も多いとされている。男女差はない。
 原発性アミロイドーシスの有病率は人口10万人当たり平均0.45である(昭和52年調査)。骨髄腫に伴うものはそれより多く0.93である。続発性アミロイドーシスの発生率は、基礎疾患に対する治療法の進歩により最近は減少したといわれている。

病因

 アミロイド物質はこれまでその本態が不明であったが、最近の研究により蛋白質の一種であることがわかった。
 しかしこうした蛋白質はアミロイド物質だけでなく、他にも認められることがわかった。例えば、脳の老人斑、副甲状腺濾胞沈着物、甲状腺髄様癌、褐色細胞腫などである。
 とくに老化に伴い、脳、心、膵などではアミロイド物質の沈着が認められ、老人の心不全、痴呆、脳血管障害の発症の誘因にはアミロイド物質の沈着が関与している可能性が示唆され、注目されている。
 このアミロイド蛋白にはいくつかの種類があり、病型によって沈着するアミロイド蛋白は異なる。

病型

 アミロイドーシスには表1に示すような病型がある。
 原発性アミロイドーシスは、基礎疾患がなくアミロイド沈着の原因が不明のものである。臨床像は多彩であるが、とくに心障害が特徴である。
 続発性アミロイドーシスは、長期にわたる慢性の難治性炎症疾患に続発してみられる。有名なものとして慢性関節リウマチ、結核などが挙げられる。臨床像の特徴は腎障害である。ネフローゼ症候群が進行し、腎不全に陥る。
 骨髄腫に伴うアミロイドーシスも古くから知られている病態で、多発性骨髄腫の5〜10%にアミロイドーシスが合併する。したがって多発性骨髄腫患者ではアミロイドーシスの存在に注意しなければならない。臨床像は原発性アミロイドーシスに類似する。
 限局性アミロイドーシスは、皮膚、眼、呼吸器、尿路などに限局してアミロイド物質が沈着する疾患である。ときに甲状腺髄様癌、褐色細胞腫、気管支癌などで腫瘍局所にアミロイドの沈着を認める。
 遺伝性(家族性)アミロイドーシスは家系内にアミロイドーシスの発症をみるものである。世界各地にその家系がみられるが、わが国では家族性アミロイド・ニューロパシーとして熊本県、長野県などからの報告が有名である。
 学問的に興味があることは、アミロイド蛋白の種類と臨床的特徴との間に関係がみられることである(表2)

臨床像

 アミロイドーシスの臨床症状は各病型によって異なる。それはアミロイド物質の沈着する組識臓器の障害によるためである。しかし、一般的に言えば限局性を除いて症状は多彩である。
 発病は緩徐である。全身症状としては全身衰弱、体重減少、貧血様症状などがみられる。
 心病変として心不全徴候を呈し治療に抵抗する。心電図で低電位差、不整脈、心筋障害所見を呈する。心肥大、低血圧もみられる。
 腎病変として蛋白尿、ネフローゼ症候群を呈する。尿蛋白がベンス・ジョーンズ蛋白のことがあるから注意する。
 肝臓は硬く肥大し、進行すると黄疸を伴う。
 脾腫、リンパ節腫大もみる。
 消化管病変としては下痢、吸収障害による栄養低下がみられる。舌は硬く腫大し、いわゆる巨舌症を呈し、これは特徴的とされている。
 神経系では末梢神経障害の形をとる。ときに手関節の掌側の肥厚のため正中神経麻痺をきたし、いわゆる手根管症候群carpal tunnel syndromeをみることもある。
 皮膚は肥厚し、ときに結節状となることもある。
 その他、呼吸器系、内分泌系症状をみることもある。
 なお家族性アミロイドーシスは常染色体優性の遺伝形式をとり、下肢に始まる末梢神経障害と、下痢・便秘が交互にみられる自律神経症状を主徴とする。

診断

 生検が唯一の生前確定診断となる。生検部位として肝、腎、歯肉、皮膚、直腸などが選ばれる。電子顕微鏡的検索と、コンゴ・レッド染色による偏光顕微鏡観察が有用である。
 血清免疫グロブリン異常として血清中M蛋白、あるいは尿中ベンス・ジョーンズ蛋白も重要な手がかりとなる。多発性骨髄腫では当然認められる所見であるが、原発性アミロイドーシスでも高率にみられる。


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