小児あるいは若年成人にみられ、脳卒中のような症状で発症する病気である。ウィリス動脈輪付近の動脈の狭窄あるいは閉塞によって脳血管写上、モヤモヤした異常血管網(側副血行)がみられるので、モヤモヤ病という名でも呼ばれる。このニックネームは欧米でも定着してきている。
我が国に圧倒的に多い病気である。米国からの報告でも日系人に多いといわれるが、白人、黒人にもみられる。
我が国の発症頻度に地域差はない。
男女比は1:1.5で女性に多く、年齢は10歳未満と30歳代の2つのピークがある。
モヤモヤ病は内頸動脈終末部付近の多くは両側性の狭窄ないし閉塞であり、この部分より前、中大脳動脈および後交通動脈へと閉塞性病変が進行していく。この狭窄あるいは閉塞は線維性組識が内膜側に増殖することによって生じるためといわれている。この病因は現在不明である。
初発症状の発現頻度を表1に示す。
病型として次の4つがある。(1)脳出血型
(2)脳梗塞型
(3)一過性脳虚血型(TIA型)
(4)てんかん型
小児では脳梗塞型、TIA型あわせて虚血性病変を示すものが80%を占める。
したがって小児の症状として、多くみられるのは運動麻痺、痙攣発作、言語障害などである。
とくに、小児が激しく泣いたとき、熱いものをさまそうとしてフーフー息をかけたとき、あるいはハーモニカを吹こうとしたときなどに、一過性の麻痺(TIA)を起こして本症を疑うきっかけとなることがある。
これは過呼吸による血中の炭酸ガス分圧Paco2が低下して、脳血管を収縮させ、ただでさえ血流の少ない脳をさらに虚血に追いやるためと考えられるからである。
突発する神経症状は反復することもあり、知能低下を後遺症として残すこともある。一方、成人型では脳出血型が60%以上を占める。
すなわち、くも膜下出血、脳室内あるいは脳内出血で、突然発症する。
これらは多くは軽快するが、ときに重症となり、死亡することもある。
1. 脳血管撮影
本症のもっとも特徴的な所見は、この脳血管撮影の所見であり、確定診断はこれのみによって可能となる。
その特徴は、(1)両側の内頸動脈終末部の狭窄または閉塞
(2)頭蓋底部の側副血行による血管網(モヤモヤ像)
(3)ウィリス動脈輪の完全または不完全閉塞
(4)その他の多彩な側副血行
などである。正常の前および中大脳動脈は造影されないことが多いようである。
2. 脳波
半数例に徐波あるいは低電位がみられる。若年例では過呼吸後、著明な徐波が出現し、それが一度消失して再び出現する(rebuild up)することがある。
3. CTスキャン
梗塞型では90%以上に、TIAおよびてんかん型では約半数に皮質・皮質下に低吸収域を認める。しばしば脳溝、脳室の拡大を認めることもある。
出血型なら脳内、脳室内に出血像がみられる。
50%以上の症例はCT上正常であったといわれるので、CTは本症の確定診断上、余り頼りすぎてはいけないようである。
小児発症例の予後についてはTIA型はそのまま10歳代ぐらいになると軽快するもの1/3 、一進一退でTIAが時々発生するもの1/3、脳虚血が進み、片麻痺が残ったり、失明、失語などの重篤な症状が進行して廃人となるもの1/3といわれる。一般に低年齢で発症したものは予後不良とされている。
出血型はときに生命に危険を及ぼすことがある。本症の剖検例はほとんどが出血型である。