膿疱性乾癬 pustular psoriasis とは、尋常性乾癬を現在もっている人、あるいは過去に既往のある人、または家族内に乾癬患者がいる人の皮膚に生じた、無菌性の膿疱性病変である。
病因は不明である。
遺伝的素因が関係するらしいということから、ヒト白血球抗原(HLA)との関連が注目されたが、尋常性乾癬がHLA−Cw6と最も強く相関し、関節症性乾癬がHLA−B27と相関することが判明したのに対し、膿疱性乾癬ではいまだ定説がない。
乾癬患者の皮膚内にどうして無菌性膿疱が形成されるか、まだ解明されていない。
ただ、膿疱発生に関与する因子として、内分泌ホルモン異常、病巣感染、免疫複合体沈着などの説がある。その他、ステロイド剤などの薬剤が誘因となると考える人もいる。
膿疱性乾癬にはいくつかの病型が知られている。
また、その類似疾患もある。
無菌性膿疱を作る疾患という面からみると、多岐にわたる。
一般には、限局型と汎発型に分けられるのがふつうである。1. 限局型
(1)限局性膿疱性乾癬(Ebert、1933)
尋常性乾癬の病変あるいはその周辺のみに限局して、膿疱がみられるものである。
外用薬の使用が誘因となることがある。(2)掌蹠膿疱性病変
手掌や足底は無菌性膿疱ができやすい部位であるが、この病変と乾癬との関連についてはなお議論のあるものもある。
このうち掌蹠膿疱性乾癬(Barber、1930)は、両側対称性に拇指球や土踏まずに無菌性膿疱が生じ、典型的な尋常性乾癬は、他の部位に存在する。
尋常性乾癬とその関連が濃厚である。
稽留性肢端皮膚炎(Hallopeau、1890)は、外傷、局所感染に続発し、通常、片側性で、手指や足趾の先端に好発する。爪周囲も侵され、爪甲は変形する。
尋常性乾癬に近い疾患と考えられている。
掌蹠膿疱症も、無菌性膿疱性疾患としてここに分類する人もいるが、膿疱性乾癬とは異なる疾患とされている。2. 汎発型
(1)汎発性膿疱性乾癬
発熱、全身倦怠感などの全身症状と、汎発性の無菌性小膿疱が多発するZumbusch型と、亜急性の経過をとり、尋常性乾癬の先行がなく、全身症状の軽い亜急性環状型が知られている。
Zumbusch型は反復悪化をくり返し、しだいに衰弱し、ときに予後不良であるので、乾癬の重症型とされている。(2)疱疹状膿痂疹(Hebra、1872)
妊娠中期から末期に発症することが多く、疱疹状配列をとる紅暈を伴う膿疱群として初発し、周辺に拡大していく。
間擦部、大腿内側、陰股部などに初発し、ほぼ全身に拡大する。
粘膜疹も生じ、舌背に地図状の模様をみる。
妊娠中に発症した疱疹状膿痂疹が、後に典型的な尋常性乾癬あるいは汎発性膿疱性乾癬になることがあり、また増悪時の臨床像や組識像が同一であったりするので、疱疹状膿痂疹と汎発性膿疱性乾癬との異同が論議されている。
<汎発性膿疱性乾癬>
- 尋常性乾癬が先行するか、家系内に尋常性乾癬患者がいるなど、乾癬素因を濃厚にもっている。
- 発熱、悪寒戦慄、全身倦怠など全身症状がみられる。
- 紅斑、潮紅上の小膿疱が多発し、それらは癒合して膿海となり、痂皮、落屑を伴って消褪する。このような発作をくり返し、寛解期には尋常性乾癬病変が現れる。舌などに粘膜疹を伴う。
- 膿疱の組識学的特徴は Kogoj 海綿状膿疱(表皮細胞に白血球が遊走し、あたかも海綿状にみえる変化で、角層下に認められる膿疱。)である。
- 臨床検査では好中球増加、赤沈亢進、CRP陽性、肝機能異常がみられる。
- 種々の誘発因子、増悪因子が知られている。とくに副腎皮質ステロイド剤の内服あついは離脱時、またその外用療法が膿疱形成の誘因となることがある。