免疫反応を遂行する因子の一時的な異常により、主として感染に対する生体防御反応の不全状態である。
したがって通常の環境条件下では一般に症状が早期に出現するので多くが小児科の領域で扱われている。
表1は、厚生省の研究班において取り上げられている疾患の種類を例示したものである。
1. 高頻度で認められる症状
(1)反復性呼吸器感染
(2)重症細菌感染(肺炎、敗血症、髄膜炎など)
(3)反復性下痢症
(4)発育不全(体重増加不振)
2. しばしば認められる症状
(1)化膿性耳漏あるいは化膿性鼻漏
(2)貧血および易刺激性
(3)慢性肺炎あるいは気管支拡張症
(4)膿皮症
(5)リンパ節および扁桃の発育不全
(6)口腔内カンジタ症(鵞口症)
(7)弱毒菌による感染(緑膿菌、大腸菌、カンジタ、その他)
(8)ニュウモシスティスカリニイによる肺炎
(9)重症ウイルス感染症(特にサイトメガロウイルス、ヘルペスウイルスなど)
(10)湿疹
診断に際しては2つのステップがある。1つは、免疫不全が存在するか否かを確認することであり、もう1つは、固有の疾患を確定診断することである。最初にスクリーニングのための一般検査で低γグロブリン血症、末梢血リンパ球の減少、同種血球凝集素価の欠如、弱毒菌の検出などが認められた場合には本症候群の可能性があるのでB細胞機能およびT細胞機能を中心とする免疫学的診断のための検査をすすめる必要がある。B細胞機能としては血清免疫グロブリン分画の測定(IgG、IgM、IgA、IgE)、分泌液中の免疫グロブリンの測定、既存の血清抗体の測定、活動免疫後の抗体産出能の測定などが行われ、T細胞機能としては、遅延型皮膚反応、試験管内リンパ球反応たとえばPHA反応、混合リンパ球反応、マクロファージ遊走阻止因子の測定(MIF)、白血球遊走阻止因子の測定(LMIF)などの検査が行われる。さらにリンパ球の表面に存在するB細胞のマーカーとして細胞表面免疫グロブリンの測定、T細胞のマーカーとして、θ抗原、ロゼット形成細胞(羊血球粘着細胞)の検査を行い、B・T細胞の数を検討する。以上のようにしてB細胞ないしT細胞の異常があるか否かを調べるほか、食細胞の検査、補体系の検査さらにはリンパ球組識その他の病理学的検査を行い、免疫学的異常の本態を明らかにする。