亜急性硬化性全脳炎(SSPE Subacute Sclerosing Panencephalitis)は、麻疹が治癒した後、長い潜伏期(5―10年後)の後に発症する中枢神経系が侵襲される病気で、比較的緩徐に進行する(これを亜急性という)脳疾患である。
年間発症率は全年齢人口の100万人に1人、15歳未満人口の100万人に数人といわれている。1985年頃まではわが国で年間10例以上の発症が報告されていたが、麻疹に対するワクチン(予防接種)の普及により最近は年間数例報告されるにとどまっている。発症年齢は5歳から12歳で約80%を占め、男女比は1.6:1と男子に多く報告されている。
SSPEは麻疹ウイルスの脳内持続感染が原因と考えられいるが、このウイルスは脳内で変異し、通常の麻疹ウイルスとはやや異なった性質を持つようになり、SSPEウイルスと呼ばれている。どのように持続感染が起こり発病するのかは、よく分かっていない。
第一期:精神状態の変化(注意力、集中力低下、無口、自閉、拒絶症、活動過多、性格変化、行動異常、学業成績低下、記憶力低下、知能低下、言語緩慢、傾眠)
第二期:一期の症状が進行するとともに二期へ移動。運動刺激症状(痙攣発作、転倒発作、失立発作、ミオクローヌス)、言語障害、運動麻痺症状が少しずつ加わる。尿便失禁も加わる。
第三期:精神活動はさらに低下し、ミオクローヌスは強くなり、不随意運動が現れる。言語障害、運動麻痺症状が目立ってくる。皮質盲が現れ筋緊張が亢進する。
第四期:強い刺激に反応する程度の意識状態になる。ミオクローヌスは強く、不随意運動がみられる。無動無言に近く、歩行、経口摂取は不可能。筋硬直、除脳肢位をとり、進行すると除皮質肢位をとる。発汗、流涎、高熱が見られてくる。
第五期:昏睡。ミオクローヌスは消失する。麻痺は極度に達し、筋緊張は低下してくる。
以上の経過をたどり死亡する。
根本的治療法はまだ無い。免疫賦活剤であるイノシプレックスの内服と、インタフェロンの髄腔、脳室内への投与が広く行われており、その併用が一時的に症状の軽減、生存期間延長に有効とされている。
以前は1―2年で死亡するといわれていたが、今は1―12年となっている(平均6.4年)。